2019年12月06日 公開
2023年02月24日 更新
写真撮影:永井 浩
金融、物流、マーケティング、さらには教育と、まったく異なる分野でキャリアを重ね、グロービス経営大学院客員教授として教壇にも立つ伊藤羊一氏。著書『1分で話せ』は35万部のベストセラーになった。そんな伊藤氏だが、キャリアプランについて考えたことはないという。
※本稿は、伊藤羊一著『やりたいことなんて、なくていい。』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
私は、2015年4月にヤフーに転職し、Yahoo!アカデミアという企業内大学の学長として、ヤフーグループ社員のリーダーシップ開発をしています。
その前には、文具・オフィス家具製造流通のプラスで、物流やマーケティング、新規事業開発や経営に携わっていました。
その一方で、グロービス経営大学院の客員教授として教壇に立ち、『1分で話せ』(SBクリエイティブ)という伝え方についての本も執筆しました。
今の私の専門は「リーダーシップ開発」「プレゼンテーション/コミュニケーション」です。
こう言うと、私のことを「複数の専門を持つスーパービジネスマン」と思う人もいるかもしれません。
実際に、「伊藤さんは自分の目指す道を迷わず突き進んでいますね!」なんて言ってくださる方もいました。
しかし、実際のところ、全然そんなことはありません。
それどころか、20代の頃は会社に反抗し、髪を金髪に染めるような不良社員でした。
さらに、一時は、メンタル不調になって、つらい思いもしました。
そんな状態ですから、明確にやりたいこともありません。
キャリア形成やキャリアプランなんて、1秒も考えたことがない。そんなこと、到底考えられませんでした。
そんな私でも、自分なりの専門と言えるものを、2つ持つことができました。
しかも、そのうちの1つは「リーダーシップ開発」です。若い頃の私が想像だにしなかったものです。
金融から出発して、物流、マーケティング、さらには教育……と、まったく異なる分野へ仕事を展開しながら、自らがリーダーとして、また教育者として、リーダーシップ開発を突き詰めてきた結果です。
しかし、リーダーになるんだ、とか、リーダーシップを研究するんだ、という思いは、もともとまったくありませんでした。それなのに、どうしてこうなったのか?
自分なりの答えは、こうです。
「いつも目の前の仕事を120%の力でやってきたら、知らないうちにこうなっていた」
今の私が専門としている仕事は、「当時の職場でやらなければならなかったこと」とか、「たまたま頼まれて始めたこと」ばかりです。
最初から「やりたい!」なんて気持ちは一切ありませんでした。
自分で「こんなキャリアをつくっていこう」と思って始めたことではありません。
次のページ
仕方なく始めたプレゼン指導が、ベストセラーのきっかけに >
更新:11月22日 00:05