2019年12月23日 公開
2023年02月24日 更新
ゴルフ場によって大きく違うが、格式の高いゴルフ場では、マナーや暗黙のルールを守ることが厳しく求められる。川田氏は、ゴルフ場に通いながら、そうしたマナーやルールを身につけていったそうだが、初心者はどこに気をつけるべきだろうか。
「実際にはケースバイケースの対応が必要ですので、『これさえやっておけば大丈夫』とは言えないのですが、ここでは三つのポイントをお伝えしたいと思います。
心得として一番大切なのは、『気持ち良くプレーする』ということです。これは、『全員が』です。第一にスピードを意識し、時間をかけすぎないことが重要です。
念入りに素振りをしたり、ラインを読んだりして、必要以上に時間をかけてしまうと、一緒に回るメンバーだけでなく、後ろの組にも迷惑をかけてしまいます。
二つ目は、服装。最近はお洒落なゴルフウェアもたくさんありますが、初めはできるだけ地味な服装を選ぶことをお勧めします。特にお客様が常連として通っていらっしゃるゴルフ場にご招待していただいた場合などは、派手な服装でプレーすることで、お客様の評判を傷つけたり、ご迷惑をおかけしてしまったりする可能性があるからです。
三つ目のポイントは挨拶です。面識のない方であっても、フロントですれ違ったり、ロッカールームで出会ったりしたときには、『おはようございます』『こんにちは』と挨拶することで、お互い気持ちよくプレーできます。
ここで挙げた三つは、普段のビジネスにも共通したことです。ですから、難しく考えすぎずに、普段の仕事や生活で心がけるべき気配りや配慮を、ゴルフ場でも実践すればいいのです。
お客様より早くゴルフ場に到着する。派手な服装は避ける。そして、自分の順番が回ってきたら、速やかに打ち、移動する。これらを心がけるだけで、相手は『この人とは気持ちよくプレーできるな』と、あなたに対して好印象を抱いてくれることでしょう」
ゴルフを始めるに当たっては、「お金がかかるのでは」というのも、気がかりなポイントだろう。
「10万円、20万円という金額をイメージされる方もいらっしゃると思いますが、クラブ一式を揃える場合でも、中古なら2万円あれば十分です。
もちろん、道具にこだわれば、いくらでもお金をかけることはできますが、ウェアは家にあるポロシャツで十分ですし、クラブやシューズはレンタルもできます。ですから実際には、未経験者の方がイメージしているほど、お金はかからないでしょう。
また、初期投資のお金以上に初めての方が気にするのは、『足手まといになるのではないか』という心配ではないでしょうか。
確かに、1度もゴルフ場に行ったことがない方、初めてクラブを握るという方、何回やってもボールに当たらない方は、事前に練習が必要です。
ただ、たとえ130回くらいボールを叩いたり、空振りが10回くらいあったりしても、気持ちよく、スムーズにプレーすることができるなら、周りの人に迷惑をかけることはありません。
むしろ、少しくらい下手で、教えがいがあると思われたほうが、仲良くなれるケースもあります。年長のお客様に打ち方を教わって、1度でも良いショットが打てたら『こんなの初めてです! ありがとうございます』とお礼をお伝えすることで、関係性がぐっと深まるでしょう」
仕事に活かせる、気配りが重要、といったことを話していただいたが、「何よりも大切なのは、お客様、そして自分自身が、『今日は楽しかった』と言って帰ることができること」と川田氏。
「つい最近も、社内のコンペに参加したところ、一緒にプレーした中に緊張している若手がいました。しかし、プレーが終わる頃には、『川田さんとご一緒できて、本当に楽しかったです』と言ってくれて、最後には皆で肩を組んで写真を撮りました。
『ゴルフは難しい』と躊躇するのではなく、一歩踏み出した先に素敵な体験と出会いが待っていると考えて、気軽に始めてみてはいかがでしょうか。まだゴルフ場に行ったことのない方は、ちょっとだけ練習をしてから、まずは1度、コースにチャレンジしてほしいと思います」
《取材・構成:池口洋司》
《『THE21』2019年12月号より》
更新:11月25日 00:05