2019年10月24日 公開
前記事で、起業家マインドが大切なことはわかったが、「特別な能力がないから無理」と感じる読者も多いだろう。その先入観は捨てたほうがいい。起業は、凡人でも成功可能なものなのだ。その理由を、自身が35歳で起業し、3年で会社を売却した小原聖誉氏にうかがった。一般的なビジネスパーソンのための、失敗しない起業戦略とは?
起業は、「特別な人がするもの」「一世一代の大勝負」「若いうちにしかできないもの」――。
起業に対してこんなイメージを抱いていませんか。確かに、昔はそうした面がありました。ですが、今では状況が大きく変わっています。
大きな違いは、2006年に商法が改正されたことによって、資本金1円から株式会社が設立できるようになったことです。それまでは有限会社の設立には資本金300万円、株式会社は1000万円が必要でした。
また、今では起業に必要な煩雑な手続きも簡単になりました。
昔は、司法書士などの専門家の力を借りながら書類を作成し、法務局に提出しなくてはいけませんでしたが、今では「会社設立freee」などを使ってウェブ上で入力すれば、わずかな時間で手続きが完了します。
あなたがその気になれば、今すぐにでも起業家になれるのです。資金調達のハードルも下がってきています。昔は、お金を調達しようと思ったら、銀行に頭を下げて回らなければなりませんでした。
また、個人保証で借りるしかなく、「失敗=自己破産」でした。今では、個人資産には1円のダメージもない方法があります。
1つは、公的資金を利用すること。起業家人口を増やしたい安倍政権は、日本政策金融公庫を通じて創業時支援を積極的に行なっています。無担保無保証で最大1000万円まで融資してもらえます。
2つ目は、有望なスタートアップ企業に対して、リターンを期待して投資するエンジェル投資家を利用すること。
今は、起業家とエンジェル投資家をマッチングする「ANGEL PORT」のようなサイトが充実しているので、投資をしたい人と出資を受けたい人が出会いやすくなり、起業家全体への出資額は増えています。
契約内容にもよりますが、基本的に失敗しても返済義務はありません。手続きが簡素化され、資産のリスクが下がった今、起業しない手はないでしょう。
仮に、再就職することになっても、市場価値は起業前より上がっています。創業経営者は、誰もが資金繰りの恐怖を味わったことがあり、その苦労は経営者でないとわかりません。同じような体験をしたことがある起業経験者は、経営者目線で働ける貴重な人材なのです。
更新:11月22日 00:05