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生花もサブスクで自宅ポストに届く時代に。3億円資金調達の起業家に聞く

2019年08月27日 公開

武井亮太(Crunch Style CEO)

ユーザーの好みに合わせたパーソナライズなどに投資

 

 Spotifyなどの音楽配信サービスやNetflixなどの動画配信サービスで有名になった「サブスク(サブスクリプション)」。月額定額制など、サービスの利用期間に応じて料金を支払う方式のことだ。月額定額で好きなクルマに自由に乗り換えられるトヨタ自動車〔株〕の「KINTO」や、同様に好きなファッションアイテムを借りられる〔株〕ストライプインターナショナルの「メチャカリ」など、サブスクは様々な業界に拡大している。そんな中、2016年から日本初の生花のサブスクを展開しているのが〔株〕Crunch Styleだ。8月27日(火)に3億円の資金調達を発表した同社のCEO・武井亮太氏に話を聞いた。

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 Crunch Styleが展開している生花のサブスクサービスの名前は「Bloomee LIFE」。会員のもとに、毎週、生花店からブーケが郵便で送られてくるというものだ。ポストに投函できるよう、特性のパッケージに入れて発送される。

「以前はギフト用の花を扱うEC事業をしていたのですが、うまくいきませんでした。特に女性は皆、花が好きですから、潜在的なニーズはあるのですが、5,000~6,000円という価格が高かったことと、日常生活の中に花がないために、花を贈るという発想に至らない方が多いことが原因でした。そこで、低価格で、日常の中に花がある暮らしをしていただけるサービスを始めようと考えたのです」

 Bloomee LIFEの価格は、レギュラープラン(ブーケの花の本数が4本以上)で1回800円(送料350円)、プレミアムプラン(5本以上)で1回1,200円(送料500円)、体験プラン(3本以上)は1回500円(送料250円)。サブスクは生花と相性がいいと武井氏は話す。

「花は枯れますから、定期的に買わなければなりません。しかし、生花店に行って花を選ぶのは、時間も手間もかかります。ポストに投函されて、支払いも定額という手軽さが、Bloomee LIFEの会員になっていただく主な理由ですね。会員には30~40代の女性が多く、仕事や子育てで忙しい中、花を部屋に飾ることで心が休まると言っていただけています」

 ブーケが、約100店舗の生花店からランダムに届けられるということも、Bloomee LIFEの特徴だ。

「各店舗のアーティストがそれぞれにブーケを作るので、1週間に約150種類のブーケができて、会員のもとには、毎回、違うブーケが届きます。だから飽きないし、『次はどんなブーケが届くだろう』とワクワクするようになり、ますます花が好きになっていく。すると、花を飾ることへの関心も高まって、飾った花の写真をSNSにアップしてくれるようになりました。サービス開始から約3年で1.5万人以上の方に会員になっていただけた大きな要因としては、SNSでの拡散が大きい。解約される方も少なく、1年、2年と、長く続けてくださる方が多いです」

 一方、生花店にとっても、Bloomee LIFEに加盟することのメリットは大きいという。

「生花店は全国に約2.5万店あります。コンビニが約5万店ですから、いかに多いかがおわかりいただけるでしょう。しかし、そのほとんどが個人店。Bloomee LIFEに加盟することで得られる安定収入の意味は大きいと思います。加盟にお金をいただくこともしていません」

 今回調達した3億円の使い道の一つは、「パーソナライズ」のための投資だ。

「会員にブーケを評価していただき、それを分析するなどして、それぞれの方の好みに合ったブーケが届くようにしようと考えています。評価をフィードバックすることで、生花店にも、より強く参加感を持っていただけるようにもします」

 もう一つが、自前で仕入れを行なう体制作りだ。

「生花店が個々に仕入れをするよりも、弊社がまとめて仕入れをして各店舗に届けたほうが、単価を下げられます。また、個々の生花店では難しいマーケティングを行なうこともできます。

 サブスクサービスであることは、仕入れの面でもメリットがあります。注文数が読めるので、廃棄がほとんど出ないんです。一般的に、生花は3~4割が売れずに廃棄されています。廃棄が出ないということは、適正価格で販売できるということでもあり、会員にとってもメリットがあります」

 パーソナライズや自前での仕入れは、今年の秋から冬に始める予定。2年後に会員数10万人となることを目指しており、病院などの法人向けの同様のサービスも考えているという。

著者紹介

武井亮太(たけい・りょうた)

〔株〕Crunch Style代表取締役CEO

1987年、栃木県生まれ。宇都宮大学教育学部卒業。店舗運営、IT企業勤務を経て、2014年に〔株〕Crunch Styleを起業。起業2カ月目に、ギフト用の花を扱った「Bloomee」をリリース。2016年より花の定期便サービス「Bloomee LIFE」を開始。

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