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退職を後悔しないために「独立前」に必ずやっておくべきこと

2019年10月30日 公開
2023年03月31日 更新

前川孝雄(FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

経営者思考で人生の主導権を取り戻す

 経営者目線を持つことで、他にも変化が起こりました。

 1つは、金銭感覚です。会社員時代は、お金の使い方が消費や浪費だったのに対し、投資する発想に変わりました。「どうすれば、価値を生み出せるか」という視点で、お金を使うようになったのです。

 例えば、お客様に役立つ知見を磨くためであれば、高額なセミナーや本の費用は厭わない。

 一方、無駄な経費は一切使わなくなりました。創業当時、時間はたくさんありましたから、なるべく自転車で移動していたくらいです。交通費は何の価値も生み出しはしません。

 逆に今は、高くても速い交通手段に使うお金は投資と考えています。時間が貴重になったからです。

 さらに大きな変化は、時間の使い方を自分で決められるようになったことで、人生の主導権を取り戻せたことです。

 会社員のときは、意味のない会議がスケジュールに組み込まれていて、うんざりしていたのを覚えています。

 今では、決定権があるため、ムダだと感じた会議はすぐにやめることができます。それによって、夕方5時に帰ることもしばしばです。

 また、理念に沿わない仕事は引き受けないので、膨大な仕事に忙殺されることもありません。おかげで、終業後に外で人に会う機会も増えたので、そのぶん事業に活かすアイデアをインプットでき、意思決定の質が上がったと感じます。

 プライベートが充実するから仕事の質も向上する。すると、休日の過ごし方も変わりました。

 会社員時代は、「やっと終わった。一杯飲んで帰ろう」といった具合に、会社を出た瞬間に仕事のことは忘れたい。休日は仕事のことなど極力思い出さないようにしていました。オンとオフを分ける働き方です。

 今は、休日に仕事のことを考えても苦ではないので、プライベートで良いアイデアを得たら、すぐにでも事業の構想を考えたい。公私融合した働き方です。

 かつて、ミドル世代は仕事人生の折り返し地点でしたが、人生100年時代では、まだまだこれから。働き方を変える余地はたくさん残されています。自分の人生のハンドルは自分で握るべく、キャリアを見直してみてはいかがでしょう。

取材構成 野牧 峻

著者紹介

前川孝雄(まえかわ・たかお)

〔株〕FeelWorks 代表取締役/青山学院大学兼任講師

1966 年、兵庫県明石市生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒。〔株〕リクルートで『リクナビ』『就職ジャーナル』などの編集長を務めたのち、2008 年に〔株〕FeelWorks 設立。「上司力研修」「50 代からの働き方研修」などで400 社以上を支援。2017 年に〔株〕働きがい創造研究所設立。〔一社〕企業研究会研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業審査員なども兼職。
独立直後には、「700 通の挨拶状を送るも反応ゼロ」「仕事の依頼がなく近所の公園で途方に暮れる」といった挫折を味わう。そこから立ち直った経験から、近年はミドルの転職・独立・定年後のキャリアの悩み相談に乗る機会も多い。
著書は、『上司の9割は部下の成長に無関心―「人が育つ現場」を取り戻す処方箋』(PHPビジネス新書)、『「働きがいあふれる」 チームのつくり方』(ベスト新書)、『「仕事を続けられる人」と「仕事を失う人」の習慣』(明日香出版社)、『もう転職はさせない! 一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)など多数。

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