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上司の9割は部下の成長に無関心!?

2015年10月29日 公開
2023年05月16日 更新

前川孝雄(FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

上司と部下

あなたは「無関心上司」になっていないか?

『上司の9割は部下の成長に無関心』この10月に発売されたばかりの書籍のタイトルに、ドキッとする中間管理職の方も多いのではないだろうか。自分の仕事をこなしつつ、部下の育成をこなさねばならないプレイングマネジャーは確かに大変だ。

だが、その状況に甘んじていると、自分の成長もチームの成長も止まってしまう。それはなぜか。本書から一部抜粋してご紹介したい。

※本稿は、前川孝雄著『上司の9割は部下の成長に無関心』(PHPビジネス新書)を一部抜粋・編集したものです。

 

「弱みを指摘する」より、もっとNGなこととは?

米国の大手調査会社・ギャラップ社では、興味深いデータを公表しています。それは、上司の働きかけによって部下のやる気がどう変わるかを調べたものです。

その調査によると、「上司は自分の強みやよい特徴に重点を置く」場合、「エンゲージしている(真剣に参加している)」と答えた部下は61%。「上司は自分の弱点や悪い特徴に重点を置く」場合はこれが45%、「上司は自分に無関心/無視する」場合は2%となったそうです。

この結果からわかるのは、まず「部下が最もやる気になって才能を発揮しようとするのは、上司が強みを活かそうとするとき」だということ。また、上司が弱みを指摘して克服させようとした場合、反骨心をかき立てられてやる気になる人も少なからずいることがわかります。

そして、部下がやる気を最も削がれるのは、「上司が部下に対して無関心である場合」なのです。

「愛情の反対は憎しみではなく、無関心です」――これは、マザー・テレサの言葉です。皆さんも、一度じっくり振り返ってみてください。これまで、部下への関心が薄くはなかったか、と。

 

「見守る」と「見張る」は大きく違う!

「自分は部下にちゃんと関心を持っている」と思っている人も、注意が必要です。というのも、部下がどれくらい業績数字を上げるかには関心があっても、部下その人に対する関心はないというケースもあるからです。

部下との会話を思い返してみると、「短期間に成果を上げるための方法を指示するだけのコミュニケーションになっていた」という上司は少なくありません。

人材育成の視点があれば、ただ結果を出すためだけでなく、「この仕事を経験することで部下は何を得て、次はどのステップに行けるか」という観点での会話が交わされるはずです。

部下は、上司が自分に本当に関心を持っているかどうか、敏感に察知するものです。以前、働く女性にインタビューした際、「上司は部下の仕事ぶりやプロセスを見守るのも仕事で...」と話すと、相手の女性から「うちの上司は見守っているんじゃなくて、見張っているんです」と言われたことがありました。

自分の評価が傷つくようなことがないかを気にして部下を「見張って」いれば、部下が上司に心を開くことはないでしょう。一方、部下の成長を「見守って」いる上司なら、部下は自ら仕事やキャリアのことを上司に相談するでしょう。

部下に関心を持つと、その先に部下への期待が生まれます。部下を見守っていれば、どんな良さがあるのかが見えてきて、「こんな仕事で活かしてほしい」という思いが出てくるからです。

その期待に基づいて部下の役割を決めたら、「背伸び」が必要な仕事を思い切って任せましょう。そして、部下がその仕事をやり遂げるまで、親身になって支援するのです。

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著者紹介

前川孝雄(まえかわ・たかお)

〔株〕FeelWorks 代表取締役/青山学院大学兼任講師

1966 年、兵庫県明石市生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒。〔株〕リクルートで『リクナビ』『就職ジャーナル』などの編集長を務めたのち、2008 年に〔株〕FeelWorks 設立。「上司力研修」「50 代からの働き方研修」などで400 社以上を支援。2017 年に〔株〕働きがい創造研究所設立。〔一社〕企業研究会研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業審査員なども兼職。
独立直後には、「700 通の挨拶状を送るも反応ゼロ」「仕事の依頼がなく近所の公園で途方に暮れる」といった挫折を味わう。そこから立ち直った経験から、近年はミドルの転職・独立・定年後のキャリアの悩み相談に乗る機会も多い。
著書は、『上司の9割は部下の成長に無関心―「人が育つ現場」を取り戻す処方箋』(PHPビジネス新書)、『「働きがいあふれる」 チームのつくり方』(ベスト新書)、『「仕事を続けられる人」と「仕事を失う人」の習慣』(明日香出版社)、『もう転職はさせない! 一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)など多数。

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