2019年10月11日 公開
2023年02月24日 更新
「ハインリッヒの法則」をご存知でしょうか。これは、1件の重大な事故・災害の背後には29件の軽微な事故・災害があり、さらにその背後には300 件の異常がある、というものです。
今回のケースでいえば、2カ月前に起こった請求書の紛失は、ハインリッヒの法則でいう「異常」に当てはまります。
結果的に大事には至らなかったものの、一瞬ヒヤリとしたことやハッとしたこと、いわゆる「ヒヤリハット」を防ぐことは、リーダーの仕事でもあるのです。
「ヒヤリハット」の段階で、ミスを報告してチームで共有することができれば、正しい対策を立てることができ、再発を防止できていました。
もちろん、ミスゼロや事故ゼロの徹底、表彰制度自体は素晴らしい取り組みです。コンプライアンスをしっかり守っている会社を悪く言うつもりはありません。
しかし、ミスを隠ぺいしてそのような評価を受けるのは、言い方は悪いですが、「こっそりカンニングして成績優秀者」になっているのと同じです。
一方、できるリーダーは、ミスをどんどん自己開示します。
以前研修でお会いした方の中には、ミスゼロ運動を掲げている最中に、リーダー自らミスの申告をメンバーの前でした、という方もいらっしゃいました。
しかも、その内容は、メールで添付ファイルを送る際、パスワードを付与しなければならないというルールを破ったという、不謹慎な言い方かもしれませんが、些細なミスでした。しかし、彼はミスをしたとみんなの前で申告したそうです。
その理由を尋ねてみると、「以前、メールを間違えて依頼先ではなく、同業のライバル会社に送ってしまい、機密情報が知られて問題になった経験があったから。同じようなミスを部下にさせたくなかったから」ということでした。
チームで誰かが起こしたミスやヒヤリハットは、他のメンバーにも起きる可能性があります。したがって、ミスが起こったとき、内容やその原因を開示し、今後の対策がすぐに立てられるような環境を、リーダーは整えておくべきです。
更新:11月22日 00:05