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できるリーダーは「なぜ、その仕事をする必要があるのか」だけを伝えない

2019年10月04日 公開
2024年12月16日 更新

吉田幸弘(リフレッシュコミュニケーションズ代表)

 

部下の心に火をつけるポイントは?

できるリーダーは、同じWHYを伝えるにしても、「なぜ(会社・チームのために)その仕事をする必要があるのか」だけではなく、「なぜあなたに頼むのか」も合わせて伝えます。たとえば、

「B君、〇〇社へのプレゼン資料、頼んだぞ。取れたら大口顧客になるし、B君の昇格のきっかけとして社内にアピールできる。だから、この仕事はB君にお願いしたいんだ」

「Cさんには、来期の売上予測をまとめたグラフを作ってほしい。来期の部署の予算を多く確保できるチャンスだし、それが実現できれば、Cさんがこの前言っていた新しいサービスの立ち上げも検討できるしね」

このように、部下が育つリーダーは、本人がやる気を出すポイントに即した「WHY」を添えた頼み方をします。

前者のB君は「昇格したい」というキャリアアップ志向、後者のCさんは「新しいサービスを立ち上げたい」というチャレンジ志向があるわけです。部下が育つリーダーは、このように部下の心に火をつけるポイントを「WHY」にして伝えるようにしているのです。

また、頼む仕事の内容によって、「資料作りといえば伊藤君だろ」「データ分析といえば山本さんだろ」と、「あなたの得意分野だからお願いしたい」というやり方もあります。

しかし、実はこの方法は、単発で仕事をお願いするときならいいのですが、このような頼み方を続けてしまうと、本人にとっては「なぜ自分ばっかり」と疑問を持ち、「他の人に頼んだっていいじゃないか。D さんだってこの仕事できるのに」と、むしろ反発を招く危険性もあるのです。

そもそも仕事は得意な人に集中してしまいます。だからこそ、部下のやりたいことにフォーカスした「WHY」を添えることが、できるリーダーの条件なのです。

著者紹介

吉田幸弘(よしだ・ゆきひろ)

リフレッシュコミュニケーションズ代表

成城大学卒業後、大手旅行会社、学校法人を経て、外資系専門商社へ転職。メンバーとのコミュニケーションに苦心し3度の降格人事を経験、クビ寸前の状態になる。その後、異動先で出会った上司から「伝え方」を学ぶことで営業成績が劇的に改善、マネジャーに返り咲く。現在はコンサルタントとして独立し、累計3万人のリーダーを育てている。

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