2019年07月07日 公開
2022年10月25日 更新
松永 ただ、もともとマニア向けの商品なので、国内の売上げは天井に来たかなと感じてもいます。ここ2~3年、売上げが横ばいになっていますから。
――これからは海外にも進出する?
松永 海外のマーケットは、まだまだ伸長するのではないかと思います。既にロサンゼルスに支社を作っていて、日本で創業したときのように、コツコツと商品を作って売り始めています。
東南アジア、台湾、中国、香港などにも、状況が安定すれば、進出したいと考えています。
――海外と日本で、顧客の違いありますか?
松永 海外とひと口に言っても、北米と東南アジアでも違いがあります。例えば、学校を舞台にしたコンテンツは、学校のシステムが日本と近い東南アジアとは親和性が高いのですが、システムが違う北米では弱かったりします。文化や習慣に関係がない、異世界が舞台のものは、全世界共通で受け入れられやすいですね。
ただ、嗜好性は全世界で似てきているように感じます。世界中のどこにいても、同じタイミングで同じコンテンツを観て、リアルタイムで仲間とコミュニケーションを取れる環境が、インターネットによってできていますから。応援上映のように、皆で一緒に盛り上がれるんですね。一人で楽しむより、仲間と一緒に楽しんだほうが、より楽しいんですよ。この流れは加速し続けるでしょう。
――インターネットラジオ事業もしていますが、それを始めたのは、なぜでしょうか?
松永 当社の事業すべてに共通していることは、継続性のあるコンテンツプロモーションです。コンテンツを継続的にプロモーションすることで、その価値を高め、寿命を延ばし、ユーザーがより楽しめるようにする。そのためのツールを提供しているのです。
コンテンツの価値を向上させ続ける原動力になるのは、キャラクターを動かし続けることです。ディズニーランドにはたくさんのアトラクションがありますが、一番大切なのは、キャラクターが動くパレードだと思います。コスプレイベントもインターネットラジオも、キャラクターが好きな人たちが、自分たちでそのキャラクターを動かし続けるための場なんです。それが、コンテンツのプロモーションにもなる。
当社は日本で初めてのメイドカフェである「キュアメイドカフェ」の運営もしていますが、それもコンテンツプロモーションのためのコラボカフェが原点です。
コンテンツを発信する側に寄り添う形でプロモーションを行なうのがタブリエ・コミュニケーションズであり、ユーザーと直接接点を持ってプロモーションを行なうのがタブリエ・マーケティングであり、コンテンツの付加価値が高くなるような商品化をするメーカーがコスパです。
――1社で様々な事業をするのではなく、複数の企業に分かれているのは、各社の役割を分けているから?
松永 それぞれ寄り添う先が違いますから。コンテンツを生み出して発信する立場と、ユーザーの立場とでは、考える時間軸も違います。それぞれに向き合うためのベストな形を、私たちなりに考えた結果、こうなっているのです。
――海外進出の話もありましたが、これからさらに成長するために、他にどんなことを考えていますか?
松永 新しいことをやりつづけないと存続できないので、色々と考えています。
子供たちが、皆、テレビで同じ時間に同じアニメを観て、翌日、クラスの仲間とその話をするということは、すでになくなっています。スマホやタブレットなど、いろんなデバイスでコンテンツに接するようになっていて、話をする仲間もクラスに限定されていません。同じコンテンツが好きな人たちのコミュニティの中にいるほうが楽しいということを、皆、わかってしまっているんですね。
コンテンツの原体験の仕方が変わると、大人になってから、そのコンテンツに対してどんな価値を見出すかも変わってくるはずです。同じコンテンツが好きな人同士が5年後も10年後も集まることも増えるでしょうから、そのための受け皿を作ることも大切です。
タイトルは年々増えているわけですから、マーケットはどんどん細分化していきます。それぞれに対応していると手数がかかりすぎて、利益も薄くなるので、テクノロジーを使うなどして集約していく方法にもチャレンジしていかなければなりません。
また、コンテンツホルダー自身が継続的なプロモーションまでするケースも増えてくるでしょう。そうなると、当社はコンテンツホルダーができないサービスをしなければなりません。イベント制作やインターネットラジオの進化形として、リアルでもネット上でも、コンテンツが好きな人たちが集まって遊べる場をもっと提供していかなければならないと思っています。
私はこれまで、いろんなチャンレジをして、人一倍失敗してきたのではないかと思いますが、チャレンジをし続けなければ成長はないと思います。
《写真撮影:まるやゆういち》
更新:11月25日 00:05