2019年07月05日 公開
2023年03月02日 更新
『ティール組織』(フレデリック・ラルー著)がベストセラーになっている。そこで解説されているのは、ほとんどのビジネスパーソンが現在働いているピラミッド型の組織とはまったく違う、次世代型の組織だ。上司による部下のマネジメントは、そこには存在しない。代わって必要になるのは何か? 『実務でつかむ! ティール組織』の著者・吉原史郎氏に話を聞いた。
フレデリック・ラルー氏は、長年にわたって企業へのコンサルティングや経営者に向けたコーチングを行なう中で、大企業のトップでさえも充実感を得られず、人生に満足できていないことに愕然としたそうです。
そこで、皆がもっと満足して働いている組織はないのかとリサーチした結果、それを実現している組織を発見しました。その事例を紹介したのが、2014年に出版した『ティール組織』という著書です(邦訳は18年)。
『ティール組織』で使われている言葉で言えば、「オレンジ組織」が、私たちにとって馴染みがあると思います。
オレンジ組織では、目に見える「成果」が重視されます。成果を上げた社員が評価されて、より高い役職に出世する組織で、数値管理によるマネジメントが重要です。
しかし、オレンジ組織では機械のように働くことが求められ、人間としての「幸せ」が疎かにされてしまいます。
その反動もあり、「グリーン組織」が登場しました。グリーン組織ではメンバーの多様性が尊重され、権限委譲も進み、上司も部下に寄り添うサーバント・リーダーが評価されます。結果、メンバーの幸せを取り戻すことができます。
ただ、グリーン組織では、権限が組織内に委譲されているだけで、分散されているわけではありません。ですから、権限を委譲する側と委譲される側の共依存関係が生み出されてしまいます。
そこに登場したのが、「ティール組織」です。
ティール組織では、権限が分散された構造の上で、成果や論理も、幸せや感情も、組織の「目的」の実現に向けて必要な要素だとします。
ティール組織の存在が広く知られるようになったことで、日本でも、ティール組織の考えに共鳴する会社が増えていく可能性を感じています。
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更新:11月25日 00:05