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なぜ、社長はいつも同じ話ばかりするのか?知っておきたい「Sカーブ」の話

2019年04月05日 公開
2023年03月10日 更新

斎藤広達(シカゴ・コンサルティング代表取締役)

ウイルスの感染もお笑い芸人の人気も「Sカーブ」に従う!

このように「最初はゆっくりと、その後急激に数字が伸び、ゆるやかに収束していく」というSカーブは、身長に限らず世の中の多くの事象に当てはまります。

たとえばインフルエンザなどのウイルス感染。最初はゆっくりと感染者が増えていきますが、ある段階を超えたあたりから爆発的に流行が始まり、時間を経て収束していく。まさにこの「Sカーブ」を描くことになります。

自然現象だけではありません。世の中のいわゆる「ブーム」もまさに、このカーブを描くことが多いのです。いわゆる「一発屋」などと呼ばれるお笑い芸人の売れ方などがまさに典型です。

 

初速だけで判断するのは愚策

なぜ、こんな話をしたかというと、新商品が市場に浸透する度合いも、実はこうした動きをすることが多いからです。最初の動きは遅くとも、徐々に浸透のペースが速くなり、ある時点で一気に売れ始めることがある、ということです。

これを知っているか知らないかで、マーケティングの成否が大きく変わってくることは、言うまでもないでしょう。

先ほどの例、つまり「発売6カ月で60万ケース販売したいのに、初月で5万ケースしか売れなかった」という場合、もちろん、本当に商品としての魅力がないために、思ったほど売れていない、ということも考えられます。

ただ、ひょっとするとこれは「ブームの前の静けさ」で、今後化ける可能性を秘めているかもしれません。そしてそれは、売れ行きのカーブを精査することで見えてくるはずです。

ここでSカーブの理論を知っていれば、「大化けする可能性があるので、まだまだ我慢が必要です」などと、短期的な意見をかわすこともできるわけです。

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