2019年04月10日 公開
飲んで騒いて盛り上がる学生、大物ミュージシャンのライブ、華やかなミスコンなど、30~40代の人たちが学生時代に経験してきた学園祭といえば、派手で賑やかな印象が強いのではないでしょうか?
しかし、時代は平成から令和へと突入する時代。学生がミレニアル世代にとって変わり、ここ数年はミレニアル世代よりさらに若い1990年代後半から2000年生まれの“Z世代”が大学生活を送っています。
はたして、学園祭はどう様変わりしたのか?
2001年から大学生に特化した広告事業を展開し、全国の学園祭にも足を運ぶユーキャンパス代表・渡部陽さんに学園祭に見る「今どき大学生の特徴」、さらにそこから見えてくる彼らとの「上手な関わり方」について聞きました。
最近の大学生の気質をキーワードで表すと「健全さ(クリーン)、優しさ、オタク性」ということになります。
それらの気質は学園祭にも反映されていることがわかります。
1つ目の「健全さ」ですが、とにかくどこの学園祭に行ってもゴミが散らかっていなくてキレイです。
これはエコの取り組みが当たり前で、ゴミの分別などが常識になっている世代だからこそという面が挙げられます。
また、大学の学園祭実行委員会の規模が大きくなるにつれて、環境や美化を担当する役割も組織化されたことが大きい。例えば、屋台で食べ終わった後の焼きそばのプラスティックや透明なフィルムをはがして分別して捨てるとか、ゴミ捨て場には張り付きのスタッフがいる大学もあるくらいです。それもやらされているのではなく、自分たちで率先してやっている。そういう道徳観が彼らには根づいているのです。
ホットドッグや焼きそばなどの屋台を出したり、文化系のゼミや団体が発表をしたりと、学園祭で行われていることはこの20年でそれほど大きくは変わっていません。ただ、学生が「内輪だけ」で盛り上がる学園祭ではなく、地域や多くの世代に「開かれた」ものになっていることは大きな違いとしてあります。
近年、学園祭に家族連れで来る人が非常に増えているのは、子どもやお母さんにとって魅力的なコンテンツを展示する団体が増えているからです。
例えば、子供向け玩具のLEGOを使ったリアルすぎる展示がメディアでもたびたび話題となり、今年の2月には書籍出版もされた東京大学のLEGO部や、毎年3000個以上も販売する「揚げ大福」が話題の早稲田大学のいちご大福研究会、大根を無料配布し毎年長蛇の列ができる東京農業大学などがあります。
特に上位校だとOBやOGが子どもを連れてきたり、私立大学は系列の小学校の子どもが大学の学園祭に足を運びます。お菓子を配る大学もあれば、魚釣りや的当てなどの露店や、親子で楽しめるスタンプラリーなどのイベントも盛んです。
そういった開かれた学園祭を実現できているのは、彼らの持つ「優しさ」が大きな理由だと思います。
例えば、先にあげたように子ども向けのイベントに積極的に取り組んだり、子どもを楽しませたり面倒を見るボランティアサークルも多くあることが関係しているでしょう。それによって、父兄は彼らに安心して子どもを預け見てもらうこともできるわけです。
次のページ
ゲストはミュージシャンから「ユーチューバー」に >
更新:11月22日 00:05