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同情するなら仕事しろ!情けは別腹な人たち(ウガンダ4)

2019年04月05日 公開
2021年08月30日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(44)石澤義裕(デザイナー)

同情すれども仕事はせず

「で、一時輸入許可証の延長をお願いしたいのですが……」

このひと言で、憐れみに満ちた眉間のシワが「怪訝」に変換されました。

オフィスを見渡して、

「あの人に訊いてみたら?」

離れた席を指差します。

涙はどこへ消えたのか、すっかり能面顔。お礼を言っても反応すらありません。

他人の不幸話はダンボ耳ですが、仕事となったら1秒も聞き耳を持たないのです。

ご指名の席で、再び事故の説明をします。

涙目と同情→延長申請→能面→誰かを指差す、のたらい回しでした。

オフィス中の同情を集めましたが、全員、俺んところに来るな!オーラです。

やがて、たらいを回せなくなった女性が、歯に貧乏くじが挟まった顔をして

「ここに顛末と要望を書いて」

「3時にまた来て」

手続きが進んだのですが、どんだけ難しい仕事かと思ったら、こんだけじゃないですか!

同情するなら、とっとと働いてください!

 

ゆっくり食事しながら「忙しい」とのたまう人たち

そして3時。

歯に貧乏くじが挟まった職員を訪ねたら、間髪入れずに

「明日にして明日っ」

えっ?

約束は3時ですよ!

っていうか明日は土曜日ですが、開いているんですか税関?

「もちろん休みよ」

油断も隙もないサービスぶりです。

 

そして月曜日の朝一、

「延長書類? 明日よ明日!」

えーーーーっ!

言いましたよね、火曜日の飛行機だって。

「何時に飛ぶの?」

「明日じゃなきゃダメなの?」

大至急、手術なんです!

「とっても忙しいのよ、わたし」と言いながら朝弁を食べているのです、もりもりと、よく噛んで。

咀嚼しているんじゃないかってくらい、ゆっくりと。

デザートのパイナップルを食べ終えるまで放置されて、おもむろに電話を一本。

たったそれだけで、書類を手にした彼女は

「奥さんの具合はどう?」

「心配ねー」

「手術が成功するよう祈ってるわ」

同情はいらんから、さっさとハンコを押せーーーっ!


井戸水を浴びるジャングルの子ども。井戸はヨーロッパからの寄付です。

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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