2019年04月02日 公開
2023年03月10日 更新
さて、今回の法改正で義務化された時季指定ですが、実は年休の時季指定に類似する制度は、以前からありました。たとえば「夏休み」ということで全従業員一斉に3日間、決まった日に休みを与える、などです。
これは、「年休の計画的付与(計画年休)」という制度です。各従業員が取得できる法定の年休のうち「5日を超える日数分」については、会社が全従業員に日にちを指定して与えることができる、とされています(就業規則の変更と労使協定の締結が必要)。
たとえば、年休が15日ある従業員であれば、5日分は従業員自身が自由に日にちを決めて取得できますが、残りの10日分については、会社が計画にもとづいて年休を与える日にちを指定することができる、ということです。
ちなみにこの計画年休は必ずしも全社で同じ日にしなくてはならないものではなく、部門ごとに決めたりすることも可能です。
ただ、この制度を使うかどうかは会社の任意でした。つまり、今回の法改正は「そのうち5日分については必ず時季を指定して年休を与えなさい」ということです。
もし、すでに計画年休制度のある会社ならば、時季を指定すべき5日間からその分が除かれます。つまり、元々あった計画年休制度により2日間の年休が与えられるのなら、残り3日間となります。
とはいえ、「会社に勝手に休みの時期を指定されるのは困る」という人もいるでしょう。
今回の法改正では、使用者がこれらの規定に基づき年休を与える場合は、あらかじめ、労働者に対して年休の取得時季に関する意見を聴取し、聴取した意見を尊重するように努めることが省令で定められています。
つまり、会社側が一方的に「○月○日に休んでください」と決めるのではなく、事前に社員の意見や予定を聞いた上で「ではこの日に休んでください」とするのも、時季の指定となります。
また、年休をすでに5日以上取得している社員に対しては、時季指定は不要です。
さて、以上が休暇制度の変更点のあらましです。こうした制度の変更も必要ではありますが、ワークライフバランスが求められるようになる中、休みを取ることは決して後ろめたいことではない、という風土を作り上げていくことが大事になってくると思います。
(『「働き方改革関連法」早わかり』より一部加筆・修正)
更新:11月22日 00:05