2018年12月09日 公開
2023年03月14日 更新
しかしながら、テクニックだけで話は伝わるものではない。経験の浅い若手MCには、まず「伝えたいという熱い想いを持つ」ことをアドバイスするという。伝えるうえで伝え手の熱意──つまり、情熱が重要なのだ。
「話を聞いている人は、『この人は本当に伝えたいと思っているのか』ということを敏感に察知します。これは、番組での商品紹介に限ったことではありません。親が子供に伝える、夫が妻に伝える、上司が部下に伝える……どんなときも、伝え手に『伝えたい気持ち』があるのか相手は見ているものです。
でも、日本人にはこの『熱意を持って伝える』ことが苦手な人も少なくないですよね。例えば、アメリカの大統領が身振り手振りを交えて演説するのに対し、日本では原稿を読み上げているだけということもあります。これでは伝わり方に10倍は差が出てくる。なぜ差ができるのか、その要因の一つが、身振り手振りなど『非言語』の表現です。
伝えるうえで言葉そのものももちろん大切ですが、非言語表現は、時に言語以上に影響力を持ちます。身体や手の動きだけでなく、色々な方向に目を配ったり、喜怒哀楽の表情を出すなど、身体全体で喋るようにすると、その熱意とともに話がより相手に伝わるようになるのです」
話の組み立て方、熱意、非言語の表現に加え、伝えるための言葉のテクニックもあると言う。
「伝えたいことを理解してもらうための基本は、難しいことを易しく言うことです。例えば、画素数が大きくなったカメラを紹介するとき、『1500万画素です!』と数字だけ言ってもイメージが湧かない。そんなときは、『パネル大に引き伸ばしても普通のプリントサイズと変わらない画質でキレイに見られます』など、イメージが湧くように、何かに置き換えて表現します。こうやってわかりやすく説明することは基本中の基本です。
さらに、声の大きさや高さを変えたり、伝えたい言葉を繰り返すことも非常に効果的です。私もソニーのテレビ『WEGA(ベガ)』の紹介に関して、番組の中で何度も『ベガ、ベガ』と繰り返しました。トータルで何十万回言ったか(笑)。たぶんテレビで一番『ベガ』と言ったのではないかと思います(笑)」
更新:11月22日 00:05