2018年12月05日 公開
2023年03月14日 更新
「日本人にはマネーリテラシーが足りない」とはよく聞く言葉だ。だが、かといっていきなり「お金の増やし方」を知ろうとすることはむしろ危険だと主張するのは、社会人に対するマネー教育に携わる「日本私産運用協会」の鈴木隆史氏だ。日本人のマネーリテラシーの低さに起因する問題と、それを解決するための最初のステップについて伺った。
先進国といわれる欧米から見れば、日本の金融事情はいびつで、閉塞感があることは否めません。
私たちは、身近で毎日使うお金についての知識を、学校からも両親からも会社の上司からも、全く教わってきませんでした。唯一教わったのは、いい高校、いい大学や専門学校に通い、いい会社に就職してお金を稼ぐ、それが世の中の常識だということ。無駄なお金は使わず、コツコツと働いて確実に増やしていくべきだということです。
ただ、その常識は今や通用しなくなっています。出生率は低迷し、人口が縮小し、少子化に拍車がかかっている現在、2050年には20~64歳人口の65歳以上人口に対する比率(総人口)は1.2となり、ほぼ1人の労働層が1人の高齢者を支えていく「超高齢化社会」へ日本が突入していくことは、データで明らかになっています。コツコツと働いたところで給与は上がらず、将来の年金もおぼつかない。こうした「お金に対する不安」が、深層心理として世の中に蔓延しているように思います。
にもかかわらず、日本人の金融リテラシーは極めて低いのが現実です。ある調査によれば、先進国7ヶ国中6位、世界144カ国中世界38位という結果が出ているそうです(S&P Global FinLit Survey より)。
更新:11月21日 00:05