2018年12月19日 公開
自分と家族にぴったりの最適な住空間を作り出すことができるリフォーム。昨今では中古住宅を購入し、リフォームするニーズも高まっている。しかし、実際に何から始めれば良いのかわからない人も多いだろう。事業者向けにも消費者向けにもアドバイスを長年行なっている一級建築士のYuu氏に、リフォームをしたい人、リフォーム物件を買いたい人へのアドバイスをいただいた。(取材・構成=内埜さくら)
近年、中古住宅の需要が高まりつつあります。
2016年、首都圏では新築マンションと中古マンションの流通量が逆転しました。㈱不動産流通研究所によると、新築の成約件数は35,772件。公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した中古の成約件数は、37,189件。僅差ではありますが統計以来、初めて中古マンションが新築マンションの供給戸数を上回ったのです。
「新築住宅がもっとも価値とステイタスが高く、中古住宅は新築のワンランク下」――そんな「新築神話」が崩壊しつつある理由は、主に二つあります。
一つは、住宅一次取得層である30代の価値観です。彼らが重きを置いているのは、「自分らしい生き方」。建て売りや分譲マンションを購入すると、最大公約数で設計された間取りで暮らすことになります。ですが、「中古住宅を購入&リフォーム」であれば、予算と自身の生活スタイルに合わせた家作りがしやすく、自分らしい暮らしと生き方を実現することができます。
二つ目は、国土交通省が既存ストック住宅の有効活用を後押ししていること。空き家の増加が大きな問題となっており、住宅リフォーム市場の環境整備を積極的に行なっているのです。
こうした流れの中、2002年に改正された「住宅性能表示制度」は、新築住宅だけではなく既存住宅も対象となりました。これは、統一基準に基づいて既存住宅の評価を行ない、性能評価書を交付する制度。良質な中古住宅を安心して取得できるようにする目的で制定されました。
また、住宅金融支援機構が提供する「フラット35(リフォーム一体型)」というローンも中古住宅購入ブームを牽引しています。これは、住宅購入時に住宅ローンとリフォーム費用を同時に組むことができる、一体型のローン。従来のリフォームローンは返済期間が短く金利がやや高めでしたが、こちらの金利は長期固定で返済期間は最長35年です。
このように、消費者のニーズや住宅事情に合わせて、各種制度が整いつつあります。今後、中古住宅の売買市場はますます活性化していくでしょう。
更新:11月22日 00:05