2018年10月15日 公開
2023年07月03日 更新
社会人に必須のスキルと言われる「論理思考」。そもそも論理思考とはどのようなものかを問う本から、実践的に論理思考を学べる本まで紹介する。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
新井紀子著
東洋経済新報社/1,620円(税込み)
AI研究で判明した人間の問題点
東大合格を目指すAI「東ロボくん」の開発者である著者が、AIの可能性と限界を科学的に解明すると同時に、現代教育に潜む深刻な問題をえぐり出す。
「なぜこの本が論理的思考力を鍛えるかと言えば、『どこまでが印象で、どこまでが事実か』の境界線を見定める重要性を教えてくれるから。新しい科学技術が登場すると人々はついそれらを印象で決めつけがちだが、事実に基づく判断軸を持たないと、過度な希望や恐怖を抱くことになる。なお本書では、『AIが人間を超えることはない』と明言する一方、子供たちの読解力の著しい低下に警鐘を鳴らしている。希望や恐怖といった感情抜きに、人間が抱える大きな問題点を抽出した点が見事です。併せて、キャシー・オニール『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』(インターシフト)もお勧めします」(神田氏)
『観察力を磨く 名画読解』
エイミー・E・ハーマン著 岡本由香子訳
早川書房/2,700円(税込み)
観察することで事実をつきとめる
名画を観察すれば、分析力や洞察力、判断力など、ビジネスに必要なスキルが身につく。FBIやCIA、大手グローバル企業でも実践されている、アートによる観察力向上の手法を紹介。
「名画に描かれた物の位置や影の方向、人物の服装といった細かい情報を組み合わせ、絵が描かれた背景を読み解くことで、観察力を飛躍的に高める方法を教える1冊。美術と論理的思考力は一見関係ないように思うかもしれませんが、本書を読めば、私たちは物事をただ見ているだけで、“観察”はしていないことに気づかされる。論理は事実で構築されるものであり、『私たちは何をもってそれを事実と判断しているのか』を明らかにしてくれます」(神田氏)
※選書は、神田氏と、Read for Actionのファシリテーターが共同で行なった。
≪『THE21』2018年10月号より≫
≪取材・構成:塚田有香≫
更新:11月22日 00:05