2018年08月06日 公開
2023年03月14日 更新
では、平均や正規分布はどんなときに使うのでしょうか。それは、各データのバラつき具合を知りたいときです(図2)。
平均値を真ん中とし、各データがそこからどれだけ離れているかを示すことで、集団全体の特徴を表わす指標になり得るのです。
たとえば、学業における偏差値がわかりやすいでしょう。私の大学では、入学後すぐに生徒全員に数学のテストを受けてもらいます。すると、年度によって数値が一カ所に固まっているときもあれば、激しく散らばっているときもあります。このデータのバラつきの大きさが、標準偏差と呼ばれるものです。標準偏差が小さいと平均値付近の山は高くなり、大きいと山は低くなります。つまり、前者は突出して優秀な生徒はいないものの粒ぞろいの生徒が集まっている。後者は、できない人も多いが、そのぶん突出して優秀な生徒も多いという事実がわかるのです。このように、データからさまざまな特徴を読み解くことができます。
これだけわかれば、データを見て適切な判断を下せる確率は上がるはず。少なくとも、真偽不明のデータに騙されることは減るでしょうし、信頼できるデータも見つけやすくなるでしょう。ぜひ、ビジネスシーンで統計の知識を役立ててください。
『THE21』2018年7月号より
取材構成 THE21編集部
更新:11月22日 00:05