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アラフィフからの再就職、選ばれる人vs.選ばれない人

2018年06月21日 公開
2022年06月06日 更新

松本利明(人事・戦略コンサルタント)

実績アピールは、結局誰にも届かない

まず、多くの人が間違えているのが「職務経歴書の書き方」です。ほぼ100%の人が「どんな仕事を何年やった」「これだけの実績がある」「こんな能力がある」と書き連ねるのですが、これはNG。同じような経歴の書類が山のように届くからです。

相手が見ているのは、「この人が入ったらどう役に立つのか」「我が社に来ても同じような結果が出せるのか」だけ。では、どうすればいいか。自己PRの1行目に「私が御社に入ったらこうお役に立てます」とその内容を書き、2行目以降にその根拠となる実績を書く。それだけで、書類が通る確度がぐっと上がります。

「こう役に立てます」というのはあくまで仮説でOKですし、それが外れていても構いません。その会社のことを調べ、仮説を立てたということが相手の心をつかみ、ポジティブな印象を与えるからです。

 

「ありがとう」で転職に成功した53歳

書類審査を通り、なんとか面接へ。ここでほとんどの人が前の会社での実績をアピールするのですが、よほどずば抜けた実績でなければ、他人との違いは打ち出しにくいもの。

むしろアピールすべきは数字ではなく、どれだけ「ありがとう」という言葉をお客様や周りから言われたかです。

「速くやってくれてありがとう」「正確にこなしてくれてありがとう」など、「ありがとう」の声は人の数ほどあるはず。この「ありがとう」があなたの提供価値であり、あなたの「持ち味」になります。

一つ、実例を上げましょう。53歳、大手システム会社でSEをやっていたAさん。職務経歴を見る限りごく普通で、差別化のポイントなし。実際、20社連続で書類選考で落とされていました。

そこで、「ありがとう」の声を探っていくことに。話していく中で、チームメンバーから多くの「ありがとう」を得てきたことがわかりました。とくに、これまで30年以上、彼と一緒のプロジェクトに入った女性社員がメンタル不調になったり、退職したりすることはなかったのです。

そこで、このポイントを軸に自己PRを書き換えました。「女性社員のメンタル不調や退職者を出さないマネジメント力」を軸に、そのノウハウを会社に広められるという自己PRを1行目に、続いてその裏づけになる数字や事実を示したのです。結果、女性社員のメンタル不調や離職率が高く悩んでいる中堅システム会社との面接がトントン拍子で進み、幹部として受け入れられました。年収も2割上がったそうです。

ここで混同されるのが「強み」との違いです。転職本にはよく「強みで勝負」と書いてありますが、あなたよりその強みが高い人が出てきたら、結局負けるだけ。持ち味ならば、自分だけの土俵で勝負できます。

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自分の欠点を「いい意味で」と置き換えよう >

著者紹介

松本利明(まつもと・としあき)

人事・戦略コンサルタント

1970年、千葉県生まれ。外資系大手コンサルティング会社PwC、マーサージャパン、アクセンチュアなどを経て現職。50,000人以上のリストラを行ない、6,000人を超える次世代リーダーや幹部の選抜・育成に関与する。24年間で世界的大企業から中堅企業まで、600社以上の人事改革と生産性向上を実現した。著書に『ラクして速いが一番すごい』(ダイヤモンド社)など。

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