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世界第4位のポテンシャル?ゆるふわ商人たち(モザンビーク)

2018年06月05日 公開
2018年06月05日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(34)石澤義裕(デザイナー)

突っ込む気力を失わせる「ゆるふわ詐欺師」

微塵も押し付けない謙虚なバッタもん売りが活躍する一方で、小技を効かす連中もいます。

SIMカード売り。

「SIMカードと2GBのデータは、いくら?」

「250です」

250で間違いないね。TWO、FIVE、ZERO。

「はい、250です」

じゃ、それくれる?

「お買い上げありがとうございます。えーと、250……………………、ランドです」

しれっと付け足す、お隣、南アフリカの通貨単位「ランド」。

これで一挙に5倍の値上がりになりますが、まったくもってぼったくり感を感じさせない「ゆるふわ」感。

邪気のない目、静かな微笑み、無欲な言葉尻。

突っ込む隙がないのです。

 

華麗なるスリテクニック……でも憎めないのはなぜだ?

沿道の炭売り。定価販売するとは、進化しています。

SIMカード売りは心の隙をついた小技でしたが、しょせんキャラに胡座をかいた営業です。深みがありません。

次に登場した両替屋は、熟練の技。まごうことなき職人芸。

1万数千円分の両替を頼んだら、厚さ3センチほどの札束になりました。

「どうぞお確かめください」

「慌てずに、ゆっくりと数えてくださいね」

わざわざ確認を促すとは、小狡そうなチンピラ顔ですが、意外にも信用を重んじる顧客志向です。

数十枚の札束を数え終えたら、お札が1枚足りませんでした。

「ごめんなさい。許してください。数え間違えました」

ホントにボクはバカですね、すみません。頭をペコペコ下げながら、札束を一度受け取り、不足分のお札を足す彼。

そんなに謝らなくても結構ですよ、君のことは信用していますから。両替してくれてありがとう。

「ご迷惑をおかけしました。これに懲りずにまたご利用ください」

なんてな挨拶を交わして別れた10分後、

「あああああーっっっ!」

絶叫する妻Yuko。

「お金が半分しかない!」

何度お札を数え直しても足りません。

ヤラレました!

たぶん、不足分のお金を足すときにお札を抜いたのでしょう。

マギー司郎氏を彷彿とさせるイリュージョンだったのです。

被害総額は7,000円以上!

けど、憎めないのです(嘘)。


アフリカでは珍しい自転車大国です

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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