2018年05月23日 公開
2023年03月16日 更新
まず「精神的なもの」が原因になっているケース。ベッドに入ってから、その日の反省をしたり、翌日のToDoを考えたりしていないだろうか。それで頭の整理ができて、すっきりとした気分になれるなら、気持ちよく眠れるかもしれない。しかし、その日の失敗を悔いたり、上司の顔を思い浮かべてプレッシャーを感じたり、ストレスを感じることの方が多いだろう。
人間の体はストレスを感じると、それに対応するためにコルチゾールというホルモンを出し、頭と身体を覚醒させようとする。すると交感神経が優位になり、血圧や心拍数が上がる。ネガティブなものばかりでなく、遠足前夜のように「楽しみすぎて眠れない」のも同じ状態だ。
その状態が1日だけならいいが、問題は「ベッドに入る>反省会や予定確認をする>興奮する>眠れない」を繰り返すうちに、何のストレスも感じていない日でも「ベッドに入る>興奮する>眠れない」と習慣化してしまうことだ。
この習慣化から逃れるには、まずはベッドでの反省会や予定確認といった、ストレスを喚起する儀式をやめること。どうしても必要ならば、眠りにつく2~3時間前に書斎やリビングなど、寝室以外のところで行おう。
そして、「ベッドに入る>眠れない」が習慣化している人は、ベッドに入って30分で寝付けなければ一度寝室を離れ、気分を変えることが大切。改めて眠気を感じてから寝室に入るようにして「ベッドに入る>眠る」という刷り込みを行おう。
通常就寝する 2~3 時間前の時間帯は1日の中で最も寝つきにくい時間帯
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット
そして、「機能的なもの」が原因になっているケース。その鍵となるのが「安眠ホルモン」とも呼ばれる「メラトニン」だ。メラトニンは心拍数や血圧、深部体温を下げる働きがあり、副交感神経を優位にして休息に適した状態に導いてくれる。つまり、“眠れない”人はメラトニンが適切なタイミングで分泌されていない可能性が高い。
メラトニンは、起床から14~16時間後に分泌されるようタイマーがセットされる。そのタイマーのスイッチに該当するのが「光」だ。
人間の体内時間は地球の自転と若干ずれており、個人差もあるが、24時間よりやや長いと考えられている。それを24時間のリズムに合わせるためには、どこかでリセットする必要がある。それがメラトニンの分泌タイマーがセットされるタイミング、つまり起床時に「強い光を浴びること」だ。できれば日光が良い。起床とともに、意識的に目から光を取り入れよう。
逆に注意すべきは「夜の光」だ。起床時に十分に光を浴び、メラトニンのタイマーがセットされても、寝る前に強い光を浴びると分泌が抑えられてしまう。帰宅前に立ち寄るコンビニや、明るすぎるリビングの蛍光灯、眠る直前に見てしまいがちなスマホやPCのブルーライトなど。できれば眠る1時間前からは強い光を避けたいものだ。特にスマホは照度を抑えるアプリもあるので利用すると良いだろう。
以上、「眠れない理由」とその回避方法について紹介してきたが、現代人にはストレスも夜の光も完全回避はなかなか難しい。対症療法的ではあるが、もう少し積極的な「眠るための工夫」が必要といえるだろう。
オススメ関連記事
すぐに眠りにつけますように…より良い眠りのための入眠儀式
https://goo.gl/iqquQn
(出典:「営業サプリ」https://www.eigyousapuri.jp/
文:伊藤真美 イラスト:なとみみわ
こちらの記事は、医師の監修のもと制作しております)
更新:11月22日 00:05