2018年06月25日 公開
転職活動に必須となる書類の一つである履歴書。「新卒採用のときにも書いたことがあるから大丈夫」と油断している人が多いが、意外と基本的なことができていない場合がある、と中谷氏は指摘する。「書けて当たり前」だからこそ気をつけるべき点とは?
履歴書は、他の書類に比べて作成は簡単ですが、実は超基本的なところを間違えてしまい、履歴書のせいで即不採用にされるケースも珍しくありません。
その超基本的なミスの最たる例が、フォーマットのミスです。転職の場合、転職者用の履歴書を使用しなければなりませんが、できていない人を多く見かけます。40代半ばの男性が新卒用の履歴書に「好きな科目:日本史」「クラブ活動:サッカー」と書いているのを見たことがありますが、これでは即、不採用でしょう。
もう一つ、注意すべき点が写真です。スーツの上着を着ていない、偏光レンズで目が写っていないなどはNG。面接と同じように、フォーマルな服装で撮影しましょう。最近はスピード写真も進化していますが、写真館で撮るのがベスト。ビジュアルも選考の対象になっていると考えるべきです。
誤字・脱字がないようにするのも大事なことです。最近ではワープロ打ちの履歴書も増えていますが、手書きの場合は一文字でも書き間違えたら全部書き直すのが鉄則です。空白と空欄が目立つ履歴書も、選考に必要な情報を得られないとされ、選考対象外になる恐れがあります。志望動機や自己PRなどの記載必須事項は、スペースの八割を埋めるつもりで書きます。
履歴書は、ミドル世代なら完璧に書けて当たり前。だからこそ、細心の注意を払いましょう。
転職者に必須の書類の2つ目である職務経歴書。履歴書と違って決まった型がないので、転職をしたことがない人は、何をどう書いたら良いかわからないかもしれない。中谷氏は、「ミドル世代だからこそ効果的な書き方がある」と話す。どういった内容をどのように書くべきなのだろうか。
ミドル世代の職務経歴書は、2枚でまとめることが原則です。1枚では必要な情報が盛り込めない危険性がありますし、逆に3枚を超えると、読み手に負担をかけてしまいます。
職務経歴書には盛り込むべき項目が四つあります。「職務要約」「職務詳細」「貴社で活かせるスキル・経験」「自己PR」です。
「職務要約」は時間の流れに沿って書く「時系列記述法」と、売りたいキャリアを軸に経験年数でまとめる「キャリア軸記述法」の2種類があります。
「職務詳細」には、「編年式」や「キャリア式」(培ってきたキャリアごとにまとめる)などいくつかの書き方がありますが、ここでは一番オーソドックスな「編年式」を紹介します。
「編年式」は文字通り、時系列で勤務先ごとに記載していきます。作成が容易で、採用担当者も見慣れている書式です。新卒入社から古い順に記載する「年代順式」と、直近の職歴から過去に遡って記載する「逆年代順式」の二パターンがあります。直近のキャリアが求人内容とマッチしている場合は「逆年代順式」を、古い経歴がマッチしている場合は「年代順式」の採用をオススメします。
「職務詳細」は、採用担当者が有益な人材かどうかを判断するために最重視する項目です。単に時系列の羅列にならないよう、表や下線、太字を用いて読みやすさの向上に努めて下さい。
「貴社で活かせるスキル・経験」は、項目は五つ以内に絞り、箇条書き・体言止めで端的に書きましょう。
「自己PR」は、応募先で何が求められているかを判断し、優先順位の高い順に記述します。最初にキャッチーなタイトルを体言止めで打ち出し、詳細説明を入れると、読みやすくなってポイントが高いでしょう。
いずれの項目についても、採用担当者の知りたい内容を、ポイントを押さえて簡潔に書くことが重要です。
面接なんて就職活動以来、という人も多いかもしれないが、ここも新卒とは違うポイントがある。「そもそも、面接では独特のコミュニケーション術が必要」と中谷氏。ミドル世代のための面接での話し方やアピールすべきポイントをうかがった。
ミドル世代が面接でやってしまいがちな失敗で一番多いのが、「話が長すぎて、何が言いたいのか要点がつかみづらい」ケース。日常のビジネスシーンでの商談や会議では「起承転結」で話を進めますが、面接では逆効果です。話が冗長で求めている質問にしっかりと対応できないと、「コミュニケーション能力がない」「人の話を聞かない」「自己中心的な人だ」と思われてしまい、マイナスポイントを稼ぎかねません。
話をコンパクトにまとめるためには、面接独特の「型」を覚えましょう。
「型」の基本が「PREP法」です。プレゼンテーション手法の一種で、P(POINT=結論)→R(REASON=理由)→E(EXAMPLE=例)→P(POINT=まとめ)という流れで、「まず結論ありき」で話すことがポイントです。
年齢的に引き出しが多く、すべてのキャリアを伝えたくなるとは思いますが、まずは結論を述べて面接官の質問を待ちましょう。「詳しく教えて下さい」と言われたら理由を話し、階層を落としていきます。
とくに、企業がミドル世代に求める「即戦力性」と「マネジメント力」など、応募先に合うスキルや知識があれば、やり取りの中でアピールしましょう。
また、この年代になると、「転職回数が多い」「リストラされた」「ブランクがある」など、キャリア上の触れられたくない点がある人も多いもの。そこを面接で聞かれることもありますが、事前に解答案を考えてうまく答えるようにしましょう。使えるのが、「Yes、But法」です。「Yes(はい、たしかに~)」でまず相手の指摘を受け止め、「But(しかし、ただ~)」と自分の意見を主張する方法です。
面接指導をしていると、質問に対して的確に答えることができない人が多いと感じます。質問の趣旨を理解し、適切に答えるよう心掛けましょう。
《『THE21』2018年6月号より》
更新:11月22日 00:05