2018年04月04日 公開
2023年03月23日 更新
論理的思考と聞いて多くのビジネスマンが連想するのは、「ロジカルシンキング」──ロジックツリーやMECE といった緻密な論理構成力だろう。しかし戸塚氏は、その類のスキルは必須ではない、と語る。
「論理の構成は単純で良い、というより単純なほうがいいと思います。シンプルな思考、シンプルな結論こそ人に訴える力があるからです。『結論はこう、理由は三つ、だから結論はこう』と伝える、結論→根拠→結論のパターンさえ身につけておけば十分です」
その際、結論がユニークである必要もないという。
「結論の質よりも、結論を持っているか否かが重要です。斬新でなくとも、これが自分の意見だと言えるものを持つこと、そしてそこに根拠があることが不可欠。『なんとなくそう思う』では説得力がありません」
まさにその点こそが、日本人の弱点だと戸塚氏は指摘する。
「海外、とくに英語圏では、些細なことでもしょっちゅう理由を問われます。たとえば『その食べ物が好きな理由』など。日本人なら『なんとなく』としか答えられないような問いですよね(笑)。結果、言葉が見つからず、会話が停滞する。
よく、日本人の英語力が低いといわれるのは、この問題が絡んでいることが多い。つまり、英語力はあっても伝える内容が思い浮かばない。ですが、そんな問いに対しても、『美味しいし、ヘルシーだし、安いから好き』などと、明快に答えられなくてはならないのです」
日本人の論理力の弱さは、コミュニケーション以外の領域にも悪影響を及ぼしている。
「たとえば電機業界。技術力はトップレベルであるにもかかわらず世界に遅れをとっているのは、製品がニーズとマッチしていないからだと思われます。海外製品は、作りはシンプルでも『誰が、いつ、どう使うか』が非常に明確。対して日本製品は、どう使えばいいのかわからないような機能がいくつも搭載されている。これもまた、『概念思考』──コンセプトを組み立てる力の弱さではないでしょうか」
更新:11月25日 00:05