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世界に通用する「論理力」を手に入れる

2018年04月04日 公開
2023年03月23日 更新

戸塚隆将(ベリタス代表取締役)

周りの出来事すべてに「自分なら」と考える

 では、具体的にはどうやって思考力を鍛えればよいのか。

「まずは『言語化』してみることです。何かについて考える際には、まず頭の中にあるものを言葉にしましょう。私はノートに考えを書き下すようにしています。最初はランダムに思いつきを書くだけですが、次第に『こことここが因果関係でつながる』などの発見が出てきます。繰り返し書き直すうち、明快な論理構成へとブラッシュアップされていきます」

 その際は、「伝える相手」を意識することも忘れてはならないという。

「相手にどう伝えるかを考えながら書き出すことにより、どう伝えればムダなくスキなく、心に訴えるものになるかも見えてきます」

 日常生活で論理力を鍛える方法は、他にもあるという。

「お勧めできる方法は二つ。一つは日常のあらゆる物事について、結論と根拠を考えてみる習慣を持つことです。『好きな食べ物は何か』『その理由を三つ挙げる』というように、どんな小さなテーマでも説明できるようにしておくと、実際のコミュニケーションでも役立ちますし、思考力も鍛えられます。

 もう一つは、『自問』の習慣。これは、『結論を持つ力』を鍛える練習です。自分に直接関係ないニュースや場面に遭遇した際、『自分ならどうする』と問いかけてみましょう。たとえば、顧客への説明に手間取る上司や同僚を見たら、自分なりの説明を頭の中で組み立ててみる、といったことです」

 管理職なら、部下に同じ習慣を持たせることも大事だ。「一方的に指示をするのではなく、『君ならどうする?』『その結論に達した理由は何?』と、こまめに問いかけましょう。これは部下育成と同時に、自分を鍛える効果もあります」

 

取材構成 林 加愛

『THE21』2018年2月号より

 

著者紹介

戸塚隆将(とつか・たかまさ)

ベリタス代表取締役

1974年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼーを経て、2007年、ベリタス株式会社(旧シーネクスト・パートナーズ株式会社)を設立、代表取締役に就任。
同社にて企業のグローバル人材開発を支援するほか、HBSのケーススタディ教材を活用したプロフェッショナル英語習得プログラム「ベリタスイングリッシュ」を主宰。グローバル人材を輩出し続けている。著書に『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(朝日新聞出版)等がある。
ベリタス株式会社
http://www.veritas-english.jp/company/
ベリタスイングリッシュ
http://www.veritas-english.jp/

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