2018年02月23日 公開
2023年03月23日 更新
次は、みなさんが経営者だとしましょう。「事業はうまくいっていますか」と聞かれたら、どう答えますか。そもそも、何をもってうまくいっているとするか、という定義について議論の余地はありますが、ここでは利益が出ている(儲かっている)かどうかを基準とします。
人によっては大して儲かっていなくても「儲かっている」と答えるでしょうし、かなり儲かっていても「まだまだ儲かっているとはいえません」と答える、控えめな経営者もいるかもしれません。つまり、答える側の主観によって回答が変わります。世間話ではそれでもよいのですが、会社に出資している株主や融資をしている金融機関が相手であると、そうはいきません。主観によらず客観的にいくら儲けたのか、利益を出したのかを定量的に示す必要があります。
会計には、会社(経営者)とおカネを介して、利害が対立する立場の人々との利害調整に役立つという機能があります。会社には、さまざまな立場で会社と関係を持つ人たちがいます。株主、金融機関、取引先、従業員などです。このような会社と利害関係を持つ人たちを総称してステークホルダーといいます。昨今では、企業のCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)という言葉が定着・浸透し、具体的な取り組みも盛んになっていることから、社会全般もステークホルダーとなってきています。
経営者は、これらのステークホルダーに対して、預かったおカネ、融資されたおカネをどのように活用し、いくら増やしたかを定期的に報告する責任があります。これを経営者のアカウンタビリティ(説明責任)といいます。外部のステークホルダーは、会社の財政状態を適切に判断するだけの情報を常に入手できるとは限りません(実際には、十分な情報を入手するのは難しい場合が多い)。そこで、経営者が会計を通じてアカウンタビリティを果たすことで初めて、外部のステークホルダーは会社の業績や財政状態を適切に把握することができ、その結果、会社との関係を継続するか、あるいは解消するかといった意思決定をすることができるのです。
更新:11月25日 00:05