2018年02月09日 公開
2022年11月30日 更新
将来は、高品質なサービスが求められる五ツ星ホテルを除いて、三ツ星や四ツ星のホテルはロボットに置き替わっていくだろうと澤田氏は予測する。そうしなければ、世界を相手にした競争に生き残れないからだ。
また、ホテル業界に限らず、あらゆる業界において、現在の人間の仕事をロボットやAIが代替することで、生産性はもっと上がっていくと話す。
「医者や弁護士などの仕事は、AIが代替できる典型的な例かもしれません。たとえばAIに過去の判例を学習させておけば、人間が調べるよりもはるかに正確に速く調べられるはずです。
旅行業である我々エイチ・アイ・エスも、AIを使った生産性向上の研究を始めています。店舗や予約センターのオペレーターに代わって、AIに回答させるという研究です。それでも一割から二割は人間が対応する必要があると思いますが、向こう3年くらいで、ほぼすべての質問にAIが回答する時代がくるのではないでしょうか。
この他、単純作業や重労働、情報のインプットでAIが学習できることに関しては、AIやロボットに置き替えられていくでしょう」
こうした変化に対して、「ロボットに仕事を取られてしまう」と不安に思う人もいるかもしれない。しかし、私たちは「仕事が減る」のではなく、「自由な時間が増える」と考えるべきだと澤田氏はアドバイスする。
「作業をするのが人間の役割ではありませんから、ロボットにできることはロボットにやってもらうのがいい。それによって、これまで8時間だった労働時間が3時間や4時間に減れば、余った時間で趣味を楽しむとか、エイチ・アイ・エスで旅行に行っていただくこともできます。楽しみながら視野を広げ、想像力を高めて、本来人間がやるべき創造的な仕事に活かしていくことができるのです」
AIやロボットが進化すれば、むしろ「人間の仕事はもっと増える」と澤田氏は指摘する。
「AIやロボットが肩代わりする仕事が増える一方で、新しい仕事が増えていくはずです。産業革命のときもそうでしたが、たとえば機械ができて、車ができると、馬車の仕事がなくなるのではと心配したかもしれません。
確かに馬車の仕事は減りましたが、その代わり、機械を製造する仕事や整備する仕事が新たに生まれた。現代でも、スマートフォンの分野で新たなビジネスと雇用が生まれていて、逆に人は足りないくらいです。
人間にしかできない仕事は、まだまだたくさんあります。それは、新しいことを考えたり、工夫したりする創造的な仕事です。単純作業はAIやロボットによって自動化が進んでも、人間にしかできない仕事は必ず残りますし、時代に合った仕事も増えていきます。ですから恐れる必要はまったくありません」
更新:11月22日 00:05