2018年03月07日 公開
2022年12月21日 更新
ガムシャラに働けば、いつかは報われる──。しかし、昨今はこの生き方が通用しにくくなってきた。では、これまで会社のために必死に働いてきたミドル世代は、これからどうすればいいのか。そんな人こそ、自分の人生を自身でデザインする必要があると指摘するのは、日本マイクロソフト社長として活躍し、45歳で独立後は、「人生は道楽」を信条に活動を続ける成毛眞氏。40代が今後の人生を面白くすごすための秘訣をうかがった。
経験豊富な40代は職場の中心となる存在。毎日、激務に追われている人は多いはずだ。しかし、「毎日仕事ばかりしていたら、将来、必ず行き詰まる」と成毛氏は警鐘を鳴らす。
「仕事人間のまま定年を迎えると、何の肩書きもないまま、世に放り出されることになります。その状態から、何かを一から始めるのは、気力の面でも体力の面でもしんどいもの。そして、何もできることのない自分に気づき、がく然とするのです。100年生きると言われる時代に、長い余生を何もしないまま過ごすことは不可能。そうならないためにも、40代のうちから、外の世界を切り拓いたほうが良いのです」
成毛氏が勧めるのは、趣味の時間を確保することだ。ただし、アウトプットできるものに限るという。
「趣味を勧める理由は、定年後の楽しみだけではありません。60代、70代になってもお金を稼ぐ手段を作るためです。今後は年金不安もあり、定年後もお金を稼ぐ必要のある人も増えてきます。ならば、好きなことをして働きたいもの。今のうちに趣味を本気でやっておけば、年をとってから、それで収入を得られるようになります」
趣味によっては、驚くほど稼げるものもあるという。
「たとえば、プラモデル作りが趣味なら、作品を高く売ることも可能。1万円程度のキットを丁寧に組み立てて塗装すると数10万円で売れることもある。ガンダムのプラモが100万円近くで落札されたこともあるのです。
今は、インターネットを通じて、ワールドワイドに売れるので、買い手がたくさん見つかるうえに、より高く売れます。アルバイトよりも、よほど稼げるでしょう」
他には、「技術を教える」「コレクションを売る」といったパターンもある。
「ただし、いずれにせよお金を稼げる域に達するには、時間がかかります。特別な技術や経験は、時間をかけなければ手に入りませんからね」
目安として、お金が得られるレベルに達するには、3,000時間を費やす必要があると成毛氏は言う。
「以前、同時通訳者の鳥飼玖美子氏が『日本人でも、三千時間も英語に触れれば、日常会話はできるようになる』と言っていました。趣味も同じぐらい時間を費やせば、ものになるでしょう」
3,000時間ということは、1日1時間かけても10年弱はかかる計算だ。
「だから、できるだけ早く、40代から始めたほうが良いのです。趣味を通じて、おのずと仲間も増えるし、健康にもなる。あくまで主観ですが、趣味に没頭している人は、みんな元気です。今の生活に潤いを与える意味でも、何か始めることをお勧めします」
更新:11月04日 00:05