2017年12月21日 公開
2023年01月23日 更新
これらを踏まえたうえで、眠りの環境を整えましょう。
まず、寝室に仕事関係のものを持ち込むのは厳禁。できれば、スマートフォンでの閲覧も避けたいところです。液晶画面の「ブルーライト」は光刺激が強すぎ、インターネットのコンテンツも興味喚起するものが多いからです。どうしても止められなければ、「30分だけ見る」→「20分で止める」というように、段階的に脱習慣化を図るのがコツ。
眠りにつくまで考え事をする際にも心がけることがあります。翌日の業務について気をもんだり、失敗をクヨクヨ振り返ったりと、マイナス思考ばかりになると心の疲労が回復しません。意識的に「今日、良かったこと」「明日、楽しみなこと」を思い浮かべるようにしましょう。
一方、身体のストレス――寒さや暑さ、痛みやかゆみ、冷えや湿気などの対策も重要。そのコツは、「身体の近くにあるものから」改善することです。
吸湿性が高く、肌触りの良いパジャマを選ぶ→同じく吸湿性の良いシーツとマットを選ぶ→掛け布団や毛布の枚数を調整→それでも寒い・暑いといった不具合があればエアコンで調整、という順番で考えると、上手に環境を整えられます。
これらの工夫で、睡眠の質は劇的に変化する可能性があります。多忙なビジネスマンはどうしても睡眠時間が短くなりがちですから、そのぶん少しでも質の向上を図りたいところです。
もちろん、仕事内容によって「どうしても徹夜せざるを得ない」という場合も、対策はあります。それは「先読み」。事前にその機会が訪れるタイミングを予測し、その前後の仕事を効率化・短縮化しておきます。そのうえで、徹夜当日はひたすら集中して働きましょう。
その翌日は疲れを取ることを最優先に。仕事量は少なく、内容も単純なものにし、定時には退社、帰ったら早めに寝ること。これでダメージは最小限に抑えられ、早期回復を果たせます。
最後に、以上のような工夫や先読みの精度をさらに高める「睡眠ログ」についてお話ししましょう。ご自身の睡眠を「見える化」するのです。
基本的には入眠時間・起床時間・睡眠時間・目覚め感を3段階で評価したものを記録するだけでOKですが、その日何をしたか、職場での調子はどうだったかなどをメモするとさらに有用なデータになります。
数日分のログが溜まったところで読み返せば、「何時間眠れば調子がいいか」「前日に何をすると疲れが残るか」などの自分の傾向が見えてきます。
「良い睡眠習慣」は人それぞれ異なります。自分にとっての良い習慣や問題点を見つけたら、こまめにカスタマイズする。それにより、睡眠という「明日への投資」は、大きな成果となって返ってくるでしょう。
≪取材・構成:林 加愛≫
≪写真撮影:まるやゆういち≫
≪『THE21』2017年5月号より≫
更新:11月24日 00:05