2017年12月14日 公開
2023年03月23日 更新
こうして「自分および周囲の働き方改革」を進めながら、同時に行ないたいのが身体のメンテナンスです。
「身体は疲れるものである」と認めたうえで、「疲労からの回復をいかに早めるか」という戦略を立てるのです。それには、「疲れ」というものの中身をきちんと知る必要があります。
疲労には、次の三つの種類があります。①肉体を使うことによって起こる「身体的疲労」。②人間関係やタフな状況などで起こる「精神的疲労」。③デスクワークやパソコン作業などによって起こる「神経的疲労」。
この3つの疲労は、互いに密接に関係しています。神経的疲労により脳が緊張すると、交感神経が常時ONのままなので内臓や筋肉が休まらず、肉体も疲労します。また、肉体的疲労が自律神経のバランスを乱して精神的疲労を招くこともあります。それらを理解したうえで、自分の疲れの性質や構造を把握しましょう。
ここでよくある失敗が、疲れの中身をよく考えず、「なんとなく疲れた」と捉えるのみで曖昧な対処をするパターン。精神が疲れているのに、栄養たっぷりの食事で回復を図ろうとしても意味はありません。
また、「人の回復法を真似る」のもよくある失敗パターンです。疲労の原因はそれぞれで、体質や環境によって対処法も千差万別なのに、人と同じやり方で解決を図ろうとする人は少なくありません。
では、どうすればよいのか。それには、自分の身体のデータを記録することです。
データといっても大げさなものではありません。スケジュール帳の隅にメモをする程度で十分です。
毎日、自分の感じる体調を〇△×の三段階でつけ、「寝不足」「食欲あり」などの備考を書き添える程度でOK。こうすることで、何がきっかけで疲れたのかが可視化されます。
加えてお勧めしたいのは、「休み」をスケジュールの中に組み込むことです。「この日は17時で退社する」「この日は会食の予定は入れない」など、あらかじめ休む時間や日程を確保しておかないと、予定がどんどん詰め込まれます。それに流されて疲労をため込むのではなく、「休みも仕事の一部」と考えてしっかり休息を取り、すばやく回復して高いパフォーマンスを挙げるのが賢い方法です。
次回からは、賢い身体のメンテナンスについて、より具体的な方法をお話しします。第2回のテーマは「睡眠」。すべての疲労に効用のある「眠り」の適切な取り方を、ぜひ知っていただきたいと思います。
≪取材・構成:林 加愛≫
≪『THE21』2017年4月号より≫
更新:11月22日 00:05