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なぜ、40代になると身体が言うことを聞かなくなるのか?

2017年12月14日 公開
2023年03月23日 更新

<連載>MBA医師が教える 40代からの「疲れリセット」術(1)裴英洙(医師/ハイズ代表取締役社長)

裴英洙

若い頃の武勇伝は今すぐ捨て去ろう

 しかしそれは、決して悲観することではありません。なぜなら、40代には若い頃には持ちえなかった武器──スキルと経験があるからです。

 昔は8時間かけないとできなかった仕事が、今は4、5時間でできるようになっているでしょう。また、昔なら慌ててパニックになっていたような状況を、落ち着いて切り抜けられる胆力も備わっているでしょう。それらは、体力の低下を埋めてあまりあるパワーとなっているはずです。

 その変化は、「がむしゃらに働く」という、これまでの仕事のスタイルの見直しにもつながります。

 体力がある若い頃は仕事を「量」で測りがちです。とくに今、40代くらいの世代となると、「1日15時間労働で頑張った」「3日徹夜した」「40日連続出勤した」といったかつての働き方を、一種の「武勇伝」として持ち、それに引きずられている人もいるのではないでしょうか。

 対して成熟したビジネスマンは、「1,000万円の取引を成功させた」というふうに、仕事を「パフォーマンス」「成果」で測ります。そして、短い時間でそれを獲得したことに達成感を覚えるものです。

 40代ビジネスマンにお勧めしたいのは、むしろ「戦略的手抜き」。「力の入れどころ・抜きどころ」がわかる年齢であればこその働き方を確立することです。

 ちなみに、そうした視点転換は、部下を持つ40代の「責任」とも言えます。

「働き方改革」が叫ばれる現在、労働時間の短縮を図ることは急務となっています。20年前にがむしゃらに働いていた方々が、今の若い人に「自分たちの若い頃は徹夜で働いたものだ」などと武勇伝をひけらかすのは、悪しき伝統を継承させるモトです。

 もちろん、若い頃はひたすら働いてスキルを蓄積させることも重要ですが、その中にある「ムダ」な要素は取り除く必要があります。彼らに「効率的な働き方のコツ」を伝授するのが、スマートな上司の在り方といえるでしょう。次代の人々をよりクレバーな働き手にしていくことで、会社組織全体の成長も図れるのです。

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著者紹介

裴 英洙(はい・えいしゅ)

ハイズ〔株〕代表取締役社長/医師/医学博士/MBA

1972年、奈良県生まれ。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科に勤務。医師として働きながら、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)を首席修了。ビジネス・スクール在学中に、医療機関再生コンサルティング会社を設立。現在も医師として臨床業務をしつつ、医療機関経営に関するアドバイスを行なう。著書に、『一流の睡眠「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』(ダイヤモンド社)など。

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