2011年12月07日 公開
2024年12月16日 更新
ハンバーガー大学でインストラクターを務めている三木和江氏にも、研修でイメージしているリーダー像についてうかがってみた。 「以前は経験が豊富で、こういう場合はこうすればいいということを、実体験を通してたくさん知っている人が、いいリーダーと呼ばれていました。しかし、いまは変化のスピードが速く、現場では、かつての経験則がそのまま通用しないことが、当たり前のように起こります。そのとき、前はこれでうまくいったという成功体験に頼っているだけでは、的確な判断は下せません。そうではなく、たとえ前例のない事態が起こっても、落ち着いて一から最適解を考えられて、なおかつ、考えたことをスタッフを巻き込んで実現できる行動力がある、こういう人が、現在、求められているリーダーです」
三木氏はまた、たとえハンバーガー大学に参加してリーダーシップ研修を受けたとしても、自ら変わろうという気持ちがなければ、成果は得られないともいっていた。逆に、変わることに抵抗がない人ほど、短期間で成長するという。 それでは、ハンバーガー大学では具体的にどのような研修を通じて、次代のリーダーを育てているのだろうか。マクドナルドだけにリーダーづくりにも、ハンバーガーをつくるようなマニュアルがあってもおかしくはないが。 「マニュアルで人は育ちませんよ。教材は充実していると思いますが、それらがカバーできるのはせいぜい80%にすぎません。ほんとうに大事な20%はむしろ教えないようにしています。私たちにできるのは、自分で考え、気づく環境を用意するということだけです」
三木氏はハンバーガー大学の研修の特徴をこう説明する。「中心となるのは、さまざまなアクティビティーやワーク。それらの活動を通じて参加者の思考を深めるのが狙いです。だから、進め方もああしろこうしろという指示は極力避け、質問をして考えさせたり、グループごとに話し合いをさせたりするようにしています」
ASMという現場責任者向けの研修を拝見させてもらった。
「人の違いを生み出すものは何か」「さまざまなタイプのクルーがいるとどんなメリットがあるか」といったテーマが示されると、それを各グループで話し合って発表する。さらに、それに対し突っ込んだ質問がされるといった具合で進んでいく。和気あいあいとした雰囲気ながら、脳みそがフル回転しているのがこちらまで伝わってくるようだった。
もちろん、研修はきっかけにすぎない。参加者はここで学んだことを現場に持ち帰り、実践しながら自分のものにしていく。そして、それができるようになったら次はさらに上位の研修に参加する。そうやって段階を踏んで、リーダーとしての完成度を高めていけるようロードマップができあがっているという。
さて、マクドナルドのハンバーガー大学で鍛えられたリーダーは、ほかの会社でも通用するのだろうか。 「私たちがめざすのは、社内だけでなくどこにいっても活躍できるリーダーの育成です。言葉を換えれば、ハンバーガー大学で教えているのは普遍的なリーダーシップだといえます。実際、教職員の方の研修など、ハンバーガー大学のカリキュラムを利用している外部の団体もあります。真のリーダーシップに業種や業界の枠など関係ないのです」(中村)
更新:02月23日 00:05