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マクドナルド 「ハンバーガー大学」 のリーダー教育

2011年12月07日 公開
2023年05月16日 更新

中村浩(人事本部ハンバーガー大学学長/部長),三木和江(人事本部ハンバーガー大学プロフェッサー)


※『THE21』2011年12月号 [総力特集]「管理職1年目」の教科書」より転載したものです。

7年連続増収増益。今中間期でも連結営業利益、連結経常利益は上場来最高を更新した。デフレでどこも四苦八苦するなか、日本マクドナルドはまさに独り勝ち状態だ。
そんなマクドナルドの強さ、その源泉のひとつが人材であるのは間違いない。そこで今回は抜群の業績を誇る企業が、どのように人材を育てているのかに迫ってみたい。とくにハンバーガー大学で何が行なわれているのかは注目だ。<取材構成:山口雅之/写真撮影:鶴田孝介>

 

mac_nakamura.jpg 「いまはとくに深く思考すること、
主体的に行動することが必要であると考えます」

 

人事本部ハンバーガー大学学長/部長 中村 浩

1964年、愛知県出身。
85年、日本マクドナルド(株)入社。90年店長。95年オペレーションコンサルタント。98年、トレーニングコンサルタント。2001年、ビジネスコンサルタント。2003年以降各地域のフィールドリーダーを経験。2011年、ハンバーガー大学学長。
趣味はおいしいものを食べること。
mac_miki.jpg 「自分を変えていける人が成長、そして成功していけると考えます」

人事本部ハンバーガー大学プロフェッサー 三木和江

1973年、富山県出身。
95年、日本マクドナルド(株)入社。02年店長。05年ハンバーガー大学プロフェッサー。
趣味は子どもとプチ探検に出ること。

 

主体的に行動して深く考えられる人

 「若者を育てることに関しては、日本でナンバーワンの企業だと思っています」
 人事本部部長ハンバーガー大学学長である中村浩氏が胸を張るように、日本マクドナルドは人材教育に並々ならぬ力を入れている。本社内にあるハンバーガー大学は、その象徴といっていいだろう。
 その名前から、ハンバーガーづくりを教える学校としばしば誤解されがちだが、そこでつくられているのはハンバーガーではない、人なのだ。
 「ハンバーガー大学はマクドナルドの創始者であるレイ・A・クロックが1961年にシカゴに創設した従業員の教育施設で、日本校は1971年の第1号店オープンの1カ月前に開校しました。創業時から一貫してピープル・ビジネスを謳っているとおり、当社の最大の強みは人です。また、人材の質が高くないと、企業理念であるQSC&V(クオリティ・サービス・クリンリネス、価値)を高いレベルで実現することができません。それゆえ、ハンバーガー大学における教育は欠かせないのです」(中村氏)
 ちなみに、中村氏はこの7月より、ハンバーガー大学学長として着任。その中村氏によると、プロフェッショナルなどジネスパーソンを育てるというハンバーガー大学の基本的な考え方は、今も昔も変わらないが、求められる人材は、時代の影響や経営環境などによって変化するのだそうだ。

 それでは最近の傾向はというと、とくにここ数年はリーダーの養成に力を入れているという答えが返ってきた。では、日本マクドナルドの考えるリーダーとは、どのような資質をもった人物をいうのだろうか。
 「ポイントは2つあります。1つは、主体的に行動できるということ。受け身や指示待ちの姿勢ではリーダーシップは発揮できないし、組織も動かせません。もう1つは、深く考えられる人。いくら知識やスキルがあっても、それだけではダメなのです。何をどうすればお客さまの満足度が高まるかや、どういう伝え方をすればスタッフのモチベーションが高まるかなどを、つねに自分やスタッフの頭を使って考えられることが、現代はとくに必要だといえます。それができて初めて、知識やスキルが活きてくるのです」(中村氏)

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