2017年10月30日 公開
2023年03月23日 更新
社員のモチベーションが高い会社と低い会社というのは確かに存在する。その違いはいったいどこにあるのだろうか。ビジネスマン100人へのアンケートをもとに、社員のモチベーションを上げるための制度や職場作りについて、人事コンサルタントの西尾太氏にうかがった。
社員のモチベーション管理に四苦八苦している上司や人事担当者は多い。はたして社員のやる気は何が原因で下がるのか。100人のビジネスマンを対象としたアンケートでは、「頑張っても評価されない」という回答が最多を占めた。
「部下を積極的に褒めることをしない、さらには悪いところも曖昧にしている日本的な企業文化が表われていますね。
管理職研修で『最近、部下を褒めましたか』と聞くと、10人に1人くらいは手を挙げる。ところが、その部下を対象にした研修で『最近、上司に褒められましたか』と質問すると挙手ゼロ、という残念なすれ違いがよく生じています。会社の『人事評価』も同じような傾向があります。まず、管理職は人事評価は“褒めるチャンス”と捉え直してください」
気が重くなる人事評価で「認められた!」という実感があると、それだけで社員のモチベーションは変わってくるはずだと西尾氏はアドバイスする。
「このとき、褒めるだけでなく至らない点も指摘することが大事です。曖昧なままにすると、部下は『自分はできている』と思い込み、成長するチャンスを逸してしまいます。マイナス面を自覚すれば次の目標にもつながり、目標があるから奮起でき、達成感も生まれるのです」
明快な人事評価はモチベーションや目標意識を引き出し、成果を高める好循環を生むのだ。
評価の次に多かったのが「給料が安い」という回答だ。
「まずハッキリさせておきたいのは、お金=モチベーションではないことです。給料が高くても社員のモチベーションが低い企業はありますし、給料が低くても社員がやる気に満ちている企業も知っています。
極端に言えば、楽しく働ける職場であったり、会社の理念に共感しているなどのモチベーションリソースがあれば、給料の額は気にならないのです。ディズニーランドを運営するオリエンタルランドや、働く人の満足度が高いスターバックスのように、企業理念で社員のやる気をうまく引き出している企業もあります。給料を上げれば社員は一時的に奮起しますが、1年もすれば給料増によるモチベーション効果は薄れていきます。長い目で見れば、企業理念や仕事の価値を部下に理解させるほうが効果的なのです」
更新:11月26日 00:05