2017年12月28日 公開
2023年03月23日 更新
休みの予定を入れたら、次は、限られた時間内に仕事を終わらせる方法を考えていきます。このときタイムマネジメントが必要になるわけですが、その大前提となる最も重要なことは、「何をやるか」より「何をやらないか」を考えることです。
普段の仕事のプロセスを冷静に検証すると、思いの他、必要のない仕事をたくさんしていることに気づくものです。
どんなに仕事のスピードを上げたり、細かくスケジュールを立てたりしても、仕事がたくさんあれば、終わりません。手帳術やタスク管理について考える前に、やることを減らすことこそが何よりもタイムマネジメントとしては大事です。
ただ、「その仕事をなくして良いかどうか」の判断が難しく、迷われる人が多いと思います。それは、次の3つの観点で判断できます。
1.お客様に影響が出ないか?
2.職場の上司や同僚にしわ寄せがこないか?
3.さまざまなリスクが高まらないか?
たとえば、客先に提案する際に、その都度、提案書を作成していたとします。これをなくしたらどうかと考えてみるのです。
すると、問題がありそうなのは1の「お客様への影響」だけとわかります。1にしても、提案書を一切なくしたら、お客様は困惑するかもしれませんが、どの会社にも応用が効くものを作り、それを持って行けば、お客様は気にしないかもしれません。いちいち作らなければ、その分の手間が大幅に削減できるわけです。
こうして一つひとつ検証すると、資料や書類作成のような間接業務は不要であり、これらをなくすことで、多くの時間を作り出せると気づくでしょう。
次は、会社や部署全体でも「やらなくていい」業務について考えましょう。
具体的に言えば、朝礼や会議、日報などが当てはまるでしょう。これらをなくせば膨大な時間を捻出できます。たとえば毎日30分の朝礼をなくせば、月に10時間以上浮く計算です。
もちろん、これらをなくすには、上司に提案し、許可を得ることが必要です。どこの職場でも、新しい提案は、すんなりと通らないもの。たとえば、朝礼の廃止を提案すれば、「朝礼がないと、皆の状況がわからなくなる」などと言われることでしょう。上司は、なくなることのリスクを恐れているわけです。
そんな上司の壁を突破するコツは、「小さな実験をさせてもらうこと」です。
たとえば、朝礼の件なら、「1週間だけ、朝礼をなくしてみませんか?」などと、期間限定で実験をすることを提案するのです。そのときには、「リスクのない範囲で」と強調しましょう。
これなら、上司も、「それなら大きな問題は起きないだろう」と許可してくれるはずです。この実験で、同僚から好評価が得られれば、壁は突破したも同然。皆が喜んでいる姿を見れば、上司も反対する理由がなくなり、提案を通してくれるでしょう。
その調子で、部署のムダな仕事をなくしていけば、かなり多くの時間が捻出できるはずです。
こうして「やらなくていい仕事」を削っていくと、最後には、「やらなくてはいけない仕事」だけが残ります。あとは、これらをより短時間で済ませる方法を考えます。次の3つの観点から考えてみると良いでしょう。
1つ目は、「一石二鳥を狙う」。一度に2つ以上のことを同時に済ませることです。
たとえば、商談が成立したあと、社に戻って契約書を作成し、後日改めて訪問してサインをいただくことがありますが、もう一度訪問するのは時間のムダです。成立する前提で契約書を持参し、商談が成立した直後にサインをもらえば一度の訪問で済みます。
2つ目は、「移動時間を減らす」こと。近場の2件のアポイントを、別の日に訪問したら大幅な時間のロスになります。
そうならないためには、お客様から「この日に来てほしい」といわれても、そのまま受け入れないこと。そして「○日ならいかがですか?」とこちらから希望を述べましょう。
3つめは、「作業をよりシンプルにする」ことです。たとえば、メールの文章を短くすること。長文を書くのは時間のムダですし、読み手にも嫌がられます。
私が実践したのは、件名だけしか書かないメールです。具体的に言えば、「(件名のみ)明日の打ち合わせ、よろしくお願い致します」などと書いて、本文には何も書かないのです。
「そんなこと許されるの?」と思うかもしれませんが、社内なら受け入れてもらえます。私の場合は、最初は頭が柔軟な同僚に送り、彼にも真似してもらうことで、徐々に部署全体に広げることができました。
(『THE21』2017年12月号特集「本当に疲れが取れる40代からの休息術」より)
更新:11月22日 00:05