2017年08月23日 公開
2023年03月23日 更新
最後の3つ目は(実はこれが一番重要ですが)、「自然にそうなる仕組み」を運用するためには、全体最適を優先し、「例外的な個別最適を捨てる」必要があるということです。
中国大手ビール会社、青島ビールでは、各地域別の営業責任者を、売上・利益・市場シェアなどの統一KPIで評価しています。上位者から順番に並べて、上位グループは昇格、下位グループは降格(またはクビ)という評価制度を取っているそうです。
地域ごとに事業規模や競合状況が違うのは当然であり、全地域の営業責任者を同一基準で評価すると不平等になる……と日本人であれば考えると思いますが、そういう個別条件は全て無視し、統一基準だけで評価するそうです。結果が出しやすい地域に配属されるかどうかも含めて、全て実力という考え方をするのです。
もちろん、この評価制度だと、潜在能力が高い人も運が悪ければクビにせざるを得ない可能性があります。しかし青島ビールは「その副作用を飲んででも、ある意味公平な統一KPIを例外なく適用したほうが経営効率がよい」と判断しているようです。
自然とそうなる仕組みを正しく運用するためには、「泣いて馬謖を切る」必要があるということだと思います。
このように、人によって価値観のバラツキのある中国やグローバル市場では、精神論ではなく「自然にそうなる仕組み」を作ることで、まぐれの100点満点ではなく、安定して70点を効率的に取ることが重要なのです。この「自然とそうなる仕組み」は、海外だけでなく、今後カオス度合いが高まる可能性の高い日本国内でも、有効なオプションになると個人的には思っています。
更新:11月22日 00:05