2017年08月25日 公開
近年はコミュニケーションツールが多様化し、とくにメールは手軽な手段として多用されている。ただし、メールは利便性が高い一方で、「使い方によってはムダを生むので要注意」と横山氏は指摘する。
「とくに『朝イチのメールチェック』は仕事の効率を下げると私は思っています。メールを見ることで、『今日はあのお客様を訪問して、この商品を提案しよう。そのためには……』と考えていた思考の流れが遮断され、せっかく高まっていた集中状態が解けてしまうからです。
顧客第一を心がけていると、ついメールも気になりますが、緊急の用件なら電話で連絡があるはず。メールにいちいち対応していれば、お客様はなんでもメールで連絡してくるようになり、営業マンはそれに振り回されてしまいます。営業マンは、お客様を時間泥棒にしてはいけません。コミュニケーションの主導権を握るには、安易につながりすぎるのは問題なのです」
では、営業マンが心がけるべきコミュニケーションとは、どのようなものだろうか。
「直接コミュニケーション、つまり対面や電話を増やしていくべきでしょう。これは対顧客だけでなく、上司・部下との間にも言えます。タイムラグがあって話がかみ合わないメールよりも、直接話せる電話にします。また、会議よりも1対1の面談のほうが意思疎通でき、お互いの納得感は高まります。相手としっかり向き合うことがコミュニケーションの質を高め、質の高いコミュニケーションが効率アップにつながるのです」
さらに、手帳やデジタルデバイスでのタスク管理・スケジュール管理など、一見すると仕事の生産性アップに役立ちそうなこれらのツールも、頼りすぎれば生産性の低下を招くという。
「最近は便利なツールがいろいろ出ており、私も営業マンの必須アイテムは何かなどと聞かれることもあります。しかし、ツールに依存すると、営業マンとして覚えておくべき大事な事柄すら覚えられなくなってしまう恐れがあります。
たとえば、自分の目標数字と達成のためのアクションプランは、何も見なくてもスラスラ言えなければ営業マン失格です。また、お客様からの質問に『それは調べてみないとわかりません』と答えていては、機会損失になりますね。
私はメモ魔ですが、それは脳に記憶させるため。だから、メモの整理や管理に時間はかけません。大事なことはツールではなく頭に入れ、お客様のどんな質問にも対応できるようにする。それが時短につながります。
営業の要は、コミュニケーションです。マニュアルどおりにはいかないお客様とのコミュニケーションで主導権を握るには、ツール依存は最低限に抑え、何よりも自分の頭を働かせて脳の回転数を上げることが大切。いつも頭を働かせていれば緊張感が生まれ、適度な緊張感は効率を上げます。
もしかすると、これが最も効果的な時短術だと言えるかもしれません」
《『THE21』8月号より》
更新:11月25日 00:05