2017年07月14日 公開
2017年07月14日 更新
東映の「スーパー戦隊」シリーズといえば、誰もが子供の頃に一度は観たことがあるだろう。1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』に始まり、現在放送中の『宇宙戦隊キュウレンジャー』まで41作も続く人気特撮番組である。実はこのスーパー戦隊、アメリカをはじめとし世界中で人気を博していることをご存じだろうか。『パワーレンジャー』は、スーパー戦隊の英語版ローカライズとして、1993年9月から全米で放送が開始された超人気番組だ。アメリカでは放送開始と同時に社会現象となるほどの大ヒットとなり、以来、世界中で超ロングセラーコンテンツとして愛されている。その映画作品が日米ハイブリッド超大作として完成し、7月15日(土)から日本でも公開される。なぜ、全世界でヒットしたのか? また、映画の見どころは? 東映の特撮部門の第一人者であり、『パワーレンジャー』の制作にも携わってきた同社顧問・鈴木武幸氏にお話をうかがった。《写真撮影:まるやゆういち》
――アメリカと言えばスーパーマンやスパイダーマンなど、アメコミのヒーローが圧倒的な人気というイメージがありますが、スーパー戦隊がヒットした理由はどこにあるのでしょうか。
鈴木 何よりも一番大きいのは、グループヒーローだったことでしょう。グループヒーローが活躍する話は、実は他の国にはあまりないのです。みんなで力を合わせて悪を倒す。その姿勢には、世界中の子供たちが共感するものがあると思います。
――なぜ、グループヒーローは日本特有のものなのでしょう。
鈴木 根底には、宗教観があるように思います。日本には「八百万の神」がいると昔から言われますよね。だから、同じ作品に複数のヒーローが出てきても違和感がない。
一方、たとえばアメリカはキリスト教で、一神教です。だからヒーローも一人。スーパーマンやバットマンがその典型例です。その点から、絶対的な存在は一人でなければならない、という前提があるのではないでしょうか。
――「スーパー戦隊」がアメリカに羽ばたいたきっかけは、ロサンゼルスで映像作品を制作するSABAN社のハイム・サバン氏による申し出だったそうですね。
鈴木 そうです。サバン氏が言うには、アメリカには子供向けのアニメ作品はあるが、日本の『仮面ライダー』シリーズや「スーパー戦隊」のような特撮番組がまったくない。それどころか、世界中探しても日本にしかない。だから、東映が作っているクオリティの高い特撮番組を、アメリカでも作りたいのだと。
しかし、実はこうした特撮ヒーロー作品を作るのには、かなりのお金と手間がかかるのです。あちらでは子供番組にそこまでお金をかけられない、また安価で作る特撮の技術もないということで、日本のヒーローアクションと特撮シーンをそのまま活用し、ドラマ部分は外国人キャストで撮り直し、再編集するという方法で制作することになりました。
そうして24年前にアメリカで始まったのが『パワーレンジャー』シリーズです。日本の作品で言うと『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992年)が最初の『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー シーズン1』にあたります。
更新:11月22日 00:05