2016年03月26日 公開
2016年04月06日 更新
《〈1〉から続く》
――フィギュアを購入するのはどういう人が多いのですか?
安藝 男女問わず、年齢層も下から上まで、幅広いです。『ねんどろいど』好きの中でも、『刀剣乱舞』だとほとんどが女性だし、『ラブライブ!』は男性が大半というように、作品やキャラクターによって大きく違いますね。
――フィギュアの市場自体は、御社が参入された当初からどれくらい伸びているのでしょうか?
安藝 当初は、キャラクターフィギュア市場というものが矢野経済研究所さんのデータにも載っていませんでした。それくらい小さかった。
10年くらい前から当社のシェアは3~4割で、微増しながらもあまり変わっていないと思います。10年前の当社の年商は15億円くらいだったでしょうか。
今の国内市場の規模は、矢野経済研究所さんによると316億円。この5年くらいは300億円くらいから微増している感じです。
――海外展開も積極的に進められていますね。
安藝 かなり初期からやっています。10年くらい前からです。こっそりイタリアのオタクショーとかに行っていましたから、「社長、よく海外に行ってるけど、何をしてるんだろう?」と思われていたかもしれません(笑)。2006年くらいに「ジャパニメーション」という言葉が流行ったりして、海外のオタクイベントに行くと日本のアニメを一生懸命に観ている人たちがいるので、「市場があるな」と思っていました。
とはいえ、やっていたのは、ショーに出展して展示するだけです。「このフィギュアすごいでしょー」と、自慢しに行っているような(笑)。それが、日本のユーザーにとっても面白かったんでしょう。
――海外での展示が国内向けプロモーションの一環になる、と。
安藝 そうですね(笑)。海外の人もフィギュアが好きだということを国内のユーザーに知ってほしかったですし、一番の想いは、海外でも売れるんだということを、コンテンツを作っている人たちに知ってほしいということです。アニメが米国で大人気だということを、そのアニメを作っているチームはうっすらとしか知らなかったりします。彼らが「自分たちが作った作品が米国でも人気なんだ」ということを知れば、企画をしたり脚本を書いたりするときに、米国人も意識するようになります。そうなると、現地のファンも喜びますし、当社としても海外展開をしやすくなる。
海外での人気を知ってもらうために、日本のアーティストを海外のイベントに連れていったり、海外のアーティストを日本に呼んで来たり、ということもよくしました。
――売上げの海外比率は伸びてきているのですか?
安藝 今は30~35%くらいで、北米、中国、東南アジアが中心です。欧州の人たちもアニメを観ていますし、日本のサブカルチャーが好きなのですが、それがちょっと格好いいことになっているように感じます。フランス人が「アニメが好きなんだ」と言うのは、日本人が「フランス映画が好きなんだ」と言うのに近い。あまり消費には結びついていないようです。
――海外関係の話題ですと、今夏テレビ放送予定の日台合同制作の人形劇『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』にも関わられていますね。これはどういった経緯ですか?
安藝 ニトロプラスという会社に所属している虚淵玄さんというシナリオライターが、サイン会で台湾に行ったんですね。その隣の会場で人形劇展みたいなことをしていたのを見て、帰国後、すぐに「これをやろう」と言いに来てくれたんです。「じゃあ、台湾にネットワークがあるから窓口を探しますよ」と動いていたら、台湾のほうでも虚淵さんが興味を持っているということを聞きつけたらしく、虚淵さんを探していて、ある日、出会った。それから2年経って、発表に至った、ということです。
非常にフィギュア的な、独自に進化した人形を使う人形劇です。もともとは伝統芸能だったのですが、PILIという会社が20年ほど前にテレビ番組化して、それからCGも使ったりして進化してきました。幻想的な世界を描いていて、見応えがあるものです。当社は造形のバックアップや日本側でのビジネススキームの構築などを担当しています。放送は台湾でもされますし、全世界で放送や配信がされる予定です。
『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀(サンダーボルトファンタジー トウリケンユウキ)』
(C)Thunderbolt Fantasy Project
http://www.thunderboltfantasy.com/
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更新:11月22日 00:05