2017年06月21日 公開
2022年11月14日 更新
――「ピザーラ」創業前に抱いた想いを、「ピザーラ」を通して叶えられているのですね。では、いよいよ、宅配ピザとの出合いについてお聞かせください。
淺野 既にお話しした通り、「ひと月に30万円儲かる飲食系の商売」を探していた私は、当時、目白でレンタルビデオ屋を経営していました。そこへ次に入ってくる新作が『E.T.』だということで、「さて、何本仕入れようかな?」というとき、ちょうど、高田馬場の早稲田松竹で『E.T.』のリバイバル放映をやっていた。それを一人で観に行って、最初のシーンで出てきたのが、デリバリーピザでした。「これだ!」と思いました。
見た瞬間、私は昔、ハワイで食べたピザの味を思い出しました。薄い生地や厚い生地があって、アツアツのとろけるチーズが美味しくて、色々な具がのっていて……。そのとき宅配ピザはまだ日本になく、これは面白いぞと興奮しました。そのアイデアを忘れないように最後まで映画を観て、自転車を飛ばして帰り、そこからピザ研究の日々が始まりました。
記憶に頼って生地やソース作りに励みますが、これが本当に難しい。あまりに大変なので、そうこうしているうちに一足先に日本上陸した他社さんに、フランチャイズさせてくれないかと電話をしたこともあります。でも、当時は直営しかやっていなかったので、フランチャイズすることができなかったのです。
――そんなことがあったのですか。既に他社が入ってきていたのに、諦めようとは思われなかったのですか?
淺野 諦めません。「それならば我々は、さらに日本人向けのピザを、特に女性や子どもが喜んでくれるオリジナルピザを、自分たちの手で作ろう」と決意を新たにしました。そうして「ピザーラ」の1号店をオープンしたのが、1987年。「ピザーラ」という店名は、「ピザ」に「ゴジラ」の「ラ」をくっつけたものです。ゴジラのように、日本生まれで皆に愛される店になって欲しいとの願いを込めました。「ピザーラ」のブランドロゴは、開店当時、私が手描きでチラシに描いたものが元になっています。全部が手作りの、ゼロからのスタートでした。
マヨネーズを使ったピザや照り焼きチキンがのったピザ、カレーソースやタラコ味のピザなど、「ピザーラ」生まれのオリジナルピザは、こうして生まれたのです。あのとき、もしもフランチャイズできていたら、今の「ピザーラ」はなかったと思います。
「ピザーラ」1号店オープン当時の淺野氏
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更新:11月24日 00:05