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ピザーラ創業者、人生の転機を語る

2017年06月21日 公開
2022年11月14日 更新

[株]フォーシーズ 代表取締役会長兼CEO 淺野秀則

人気のカニグラタンシリーズは
「ジョエル・ロブション」発!?

――1997年には売上高・店舗数ともに日本一を達成、今ではピザのみならず、和食にハワイアン、スパニッシュから高級フレンチ「ジョエル・ロブション」まで、56業態ものお店を経営されるまでになりました。

淺野 当時は想像もできませんでしたが、今はたくさんの業態があることが、私たちの強みになっています。「こちらの業態で成功したあの手を、あちらの業態でもやってみよう」と、そんなことを常に考え、実行しています。業態間で、アイデアをジャンプさせるのです。たとえば、「ピザーラ」のカニのグラタンピザは、「ジョエル・ロブション」レストランのシェフが考えたアイデアが実現したものです。こうした業態間のシナジーを考えたり実行するのは、個人的に最も面白いところだと感じています。
私は今でも、眠っている間にも色々なアイデアが湧き出てきて、夜中や朝に起きてメモをとるほどなのです。あまりにたくさんアイデアを出すので、社長である妻に叱られたり、社員に「そのアイデアは早すぎます!」と止められたりしています(笑)。いつか、私のアイデアが出てこなくなったらそれは、私がこの仕事を誰かに任せるときでしょうね。

――新しくてユニークな商品を生み出すコツはあるのですか?

淺野 お客様の「一歩先」を行くことが何よりも重要です。三歩も先を行ってしまえば、それは失敗します。社員が「早すぎます」と言うのは、そういうことです。
でも、私が1993年にスピーチをする機会があったとき、バジルなんていうハーブは誰も知りませんでした。でも私はスピーチでこう話しました。「10年後、皆さんは自分の好きなハーブを言えるようになっているでしょう。それに、自分の好きなチーズの種類、好きなワインも、言えるようになっているでしょう」と。
そしてそれは、現実になりました。もちろんバジルをうたったCMをじゃんじゃん流したり、そうやって時代を創っていくことは必要ですが、食というのは必ず進化するものです。「もう新しいものは何もない」ということはありえません。だから今も、面白い新商品を出しています。スーパーフード入りのピザ、「PIZZA-LA SUPER PLUS(ピザーラ スーパー プラス)」(※1)です。
これは今までにない新しいコンセプトのピザで、スーパーフードのアマニや全粒粉、ライ麦、小麦など6種類の穀物を独自に配合した、食物繊維が豊富な専用生地を使用しています。『キヌアとトマトのバルサミコジャム仕立て』に使用している特製トマトソースは、イタリア産有機トマトのほか、食物繊維・乳酸菌などが入ったオリジナルソース。トッピングにはたっぷりのフレッシュトマトを使い、トマトと相性抜群のバルサミコベーコンジャムを合わせました。さらに、ピザが焼きあがった後にもひと手間かけ、低脂肪・高タンパクのカッテージチーズと、スーパーフードのキヌアをのせて仕上げています。リコピンと食物繊維が豊富に入った、新たな味わいの“新感覚トマトピザ”です。
もう一品の『6種類のナチュラルチーズ&ハニー』には、コク深い味わいが特徴のナチュラルチーズを贅沢に6種類、たっぷりと使用し、フレッシュマッシュルームをふんだんにトッピング。さらに、オメガ3脂肪酸・食物繊維が豊富なクルミを後乗せして、香ばしさと食感を楽しめるように仕上げています。別添のアカシアハチミツは上品な香りと甘みで、お好みでピザにかけて味わいの変化を楽しめます。ピザーラならではのこだわりのおいしさはそのままに、健康へのこだわりをプラスした栄養抜群のピザなのです。

ピザーラ

「PIZZA-LA SUPER PLUS(ピザーラ スーパー プラス)」 左:『キヌアとトマトのバルサミコジャム仕立て』 右:『6種類のナチュラルチーズ&ハニー』

 

――栄養価の高いピザとは、初めて聞きました。とくに女性に喜ばれそうです。淺野会長はまるで、未来が見えているようです。

淺野 好きな人や好きなものは、よく見ますよね。よく見れば、ヒントやチャンスはたくさん転がっています。なんでもヒントやチャンスになると言っても過言ではありません。私が『E.T.』を見て宅配ピザと出合ったように、映画には常に最先端の情報が詰まっていますから、映画を観ることだってヒントにつながりうるでしょう。
私は今、映画を観る時間はなかなかありませんが、やはり飲食関係の事象はなんでも好んで見ています。新幹線を使うときなどは、駅弁を見て回るのが大好きです。売店で、「どれが売れているかな」なんてことを考えながら見るのが好きなのです。たとえば今は、野菜が多く入っているお弁当から売り切れていると思います。昔は値段が安かったり、量が多かったりするものが人気でしたが、今は値段よりもサイズよりも、野菜です。「何種類の野菜を使っています」とか、そういうことが売りになるのですね。

 

挑戦は裏切らない

――淺野会長からは人生とお仕事を楽しまれているオーラがすごく感じられます。その秘訣はなんでしょうか?

淺野 とにかく私は、挑戦するのが好きです。もう挑戦しなくてもいいんじゃないの? と言われても、好きだから挑戦したいのです。私の周りにも、会社を上場させて、売却して、引退する人は多くいます。しかし私の場合は、「リタイアして何するの?」というのが正直なところ。せっかくこの世に生を受けたのだから、何かしたい。ずっとその思いでやってきて、今は毎日が面白くて仕方ありません。今だけでなく、『E.T.』を観てデリバリーピザに出合ってから、毎日が面白い。当然、経営をしていれば色々とありますが、全部ひっくるめて「楽しい」と断言できます。
どれだけ努力しても報われず、むしろ地に叩きつけられるような目に遭っていたあの日々。しかし、どんな目に遭っても挑戦だけはやめませんでした。そのしつこさが、私にチャンスを呼び寄せました。私にとっては宅配ピザが運であり、縁でした。
チャンスは常に存在します。大企業が揺らぐような波乱の時代も、逆に言えばチャンスに満ちた時代と言えます。波と波の間には、チャンスがあるのです。大波が来たら、潜ってかわせばいいのです。波が引いたらまた顔を出して、チャンスを探します。そうすれば必ず、自分にとっての「運や縁」と出会える。私はそれを経験から信じています。だから私は、挑戦こそが人生の醍醐味だと思っていますし、命あるかぎり挑戦し、ベストを尽くしたいと思っています。
これからも、大好きな飲食の仕事を通じ、世界がよりよくなるように、自分にできることをしていきたいと思います。

 

(※1)「PIZZA-LA SUPER PLUS」は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、北海道、宮城県、新潟県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府、福岡県、熊本県の、ピザーラの一部店舗で販売中。

 

≪記事内の写真はすべてピザーラ提供≫

著者紹介

淺野秀則(あさの・ひでのり)

[株]フォーシーズ 代表取締役会長兼CEO

1953年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒。80年、輸入商社として(株)フォーシーズを創業。87年、東京都目白にピザーラ1号店をオープン。97年、売上高・店舗数ともに業界1位に。「TO THE HERBS」「KUA `AINA」「柿家鮨」「串かつ でんがな」等のカジュアル業態から、フレンチの名店「ジョエル・ロブション」まで、56業態もの飲食店を内包するグループに成長させる。

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