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6タイプ別「損する話し方」克服ガイド<後編>

2017年04月25日 公開
2023年04月06日 更新

西任暁子(U.B.U.[株]代表取締役)、森下裕道(パーソナルモチベーター)

 

⑥「つい感情的になってしまう」人

イライラの原因は常に自分の中にある

 職場では、思うままにならない場面が頻発するもの。それらのストレスを適宜受け流せる人もいる一方、このタイプの人は小さいことでもすぐに怒りや苛立ちを発生させてしまう。

 ミスをした部下を怒鳴りつけたり、意見が認められないと不機嫌になったり……。このような反応を続けていると、周囲に「精神的に不安定で、セルフコントロール力に難あり」と思われてしまうだろう。

 こうした人々は、「自分を怒らせる相手に問題がある」と思っているが、それは誤りだと両氏は語る。

「『部下がホウレンソウをしない』と怒る上司は多いのですが、そういう人にかぎって、普段から『報告ありがとう』というひと言を言っていないもの。毎日イライラした様子を見せているせいで部下が寄ってこない、という可能性もあります」(森下氏)

「怒りや苛立ちは、自分のニーズが満たされないときに起きるもの。『ミスをしたくない』という思いが強ければ、部下のミスへの怒りは強くなり、『時間は守るべき』と強く思っていれば遅刻に厳しくなる。つまり、自分の中のこだわりが、怒りを起こさせているのです」(西任氏)

 このタイプは総じて自分に厳しく、他人にも厳しい。

「自らに対して『こうあるべき』という理想像が明確な人が多いですね。しかし、それは逆に言うと高い理想を持っていて、『今の自分ではダメだ』と思っているということ。そんなとき、理想に反する行動を他者にとられると、見たくない自分を見せられた気がして、心の安全を脅かされます。この状態になると、人は反射的に感情的になるのです」(西任氏)

小さな気分転換でイライラをリセット

 そうした自分の心理に気づき、認めることがまずは必要だ。

「安全を脅かされて攻撃的になったり心を閉ざすのは、いわば動物的な反応です。そんなときは、まずひと呼吸。そして、『今、自分はイライラしているのだな』と受け入れること。それから、『自分は時間を守ることを大切にしているんだな』とニーズを考えていくと、だんだんと冷静になれます」(西任氏)

 また、自分の成長のチャンスとして捉える視点も有効だ。

「相手の言動に苛立つのは、自分の中にも同じ種があるから。だとすれば、『自分がステップアップする課題を見せてもらえたのだ』と発想の転換をすることも可能でしょう」(森下氏)

 それと同時に、シンプルな気分転換を行なうのも良い。

「その場をひとまず離れると視界が変わります。すると気分も変わるもの。トイレに行く、給湯室で水を一杯飲むなど、場所を変えて気持ちをリセット。

 また『指ぶら体操』もお勧め。腕を垂らして、濡れた手の水を切る感覚でブラブラと振ります。すると、頭に上った血が下がり、ピリピリした神経も穏やかになります。これは力を抜いて行なうことがポイントで、緊張をほぐすのにも有効です」(森下氏)

≪取材・構成:林 加愛≫
≪『THE21』2017年4月号より≫

西任暁子(にしと・あきこ)
U.B.U.[株]代表取締役
大阪府生まれ。慶應義塾大学在学中よりFMラジオのDJとして活躍し、話し手・聞き手の両方の立場から「わかりやすく伝える方法」の探求を重ねてきた。2012年、U.B.U.㈱を設立。現在は、スピーチやファシリテーション、コミュニケーションを軸に企業の人材育成に従事。著書に、『本音に気づく会話術』(ポプラ社)など多数。

森下裕道(もりした・ひろみち)
[株]スマイルモチベーション代表取締役/パーソナルモチベーター
接客・営業コンサルタント。大学卒業後、㈱ナムコへ入社し、異例の速さで店長に抜擢。独自の接客法で多くの不採算店舗を立て直す。現在は、接客、営業、人材育成、人間関係のコミュニケーションの観点からコンサルティングや講演活動を行なう。著書に、『人前であがらずに話す技法』(大和書房)など多数。

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