2017年05月03日 公開
2023年04月06日 更新
挨拶が返ってきたあと、相手と目を合わせない人がいますが、そうしてしまうと雑談が続きません。
視線を合わせることは「自分を知ってほしい」「あなたを知りたい」という意思表示です。目を伏せていたら、相手に逃げ腰な印象を与えてしまいます。
目を合わせるのが怖いと感じる人は、「自分の左目で相手の左目を見る」ことを意識してみましょう。両目で正面切って見るよりも、心理的プレッシャーが軽くなります。
ちなみに、左目は感覚や感情を司る右脳とつながっているので、左目を見つめることで「感じの良い人」という印象を相手に与え、会話が活発化します。
よくあるのは、せっかく相手が「今日は寒いですね」などと話しかけてくれているのに、「そうですね」とだけ返して雑談が終わってしまうパターンです。
「寒いですね」と言われたら、「そうですね。でも、午後からは暖かくなるそうですよ」などと、もうひと言つけ加えて返すこと。この「1問2答」を鉄則にしましょう。
つけ加えるひと言はポジティブなものにすることもコツです。人は、あとから入った情報ほど鮮明に記憶するからです。「午後からは暖かくなるそうですよ。でも今は寒いですね」では、相手の気が滅入ってしまいます。
また、こまめに相手の名前を口にすることも好印象につながります。人は、自分の名前を呼ばれると「大切にされている」と感じるからです。
「○○さんは花粉症ですか?」「○○さん、どうぞ奥の席にお座りください」というように、会話の端々に相手の名前を入れるようにしましょう。
話題選びについては、「し・か・け」=「仕事・家庭・健康」がお勧め。「最近はお忙しいですか?」「お住まいは近くですか?」「私は最近、血圧が気になっておりまして……」などです。
これらの話題は差し障りがない無難なものです。無難な話題を選ぶメリットは、相手から「YES」の言葉を引き出しやすいこと。YESを言ってもらうごとに、距離がぐっと縮まります。そのまま本題に入ると、本題でもNOを言いづらくなるので、話の進行がスムーズになります。
ビジネスシーンで雑談をするときは、本題の話につなげることを意識することが必要です。しかし、それを露骨に示すのはNG。「雑談を5分くらいして、あとは本題へ……」といった段取りに気を取られて、雑談をおざなりにしていると、「どうせ商品を売りたいだけだろう」と悪印象を持たれます。
段取りを考えつつも、それを感じさせないのが雑談上手の極意。ポイントは、相手への興味と関心を示すことにあります。
相手が好む話題は何かを探って、見つけたらそれを掘り下げましょう。相手の休日の過ごし方から趣味の話題に持っていくのがその典型です。
趣味がわかったら、「いつから始められたのですか?」「きっかけはなんですか?」と身を乗り出しましょう。人は自分の好きなことについて話すのが大好きですから、雑談が大いに弾むはずです。
雑談を楽しく盛りあげられたら、新しい情報を得られます。そうすると、その情報を別の場での雑談の話題として使えます。これを繰り返せば、話題に困ることがなくなります。
最大の秘訣は、どのような話題にも興味を持つこと。知らないことを「知らない」で終わらせず、「教えてください」と目を輝かせる。そんな人は誰からも好感を持たれ、「この人と仕事がしたい」と思ってもらえるでしょう。
《取材・構成:林 加愛》
《『THE21』2017年4月号より》
更新:11月23日 00:05