2017年03月14日 公開
2022年03月31日 更新
30代や40代なら、地方の会社に転職しても、収入はそれほど下がらないことが多い。都市部の大手企業でも、この世代の賃金は上がっていないことに加え、前述のとおり、地方の企業に転職すると役職が上がることも多いためだ。
「それに地方は生活コストが低い。だから東京に住んでいた頃より収入が多少下がっても、生活レベルは変わらないか、むしろ良くなる人もいるはずです。物価も住居費も高い東京では、自分の稼ぎだけで子供を育てるのが難しい人も増えている。だったら地方で暮らすほうが家計に余裕が生まれ、幸せな子育てができるかもしれません。
これまで日本人は、『地方から東京、東京から世界』を目指すことが唯一の幸福モデルだと信じてきました。地方出身者が東京の大学に進み、東京の大手企業に入り、やがてグローバルで成功して故郷に錦を飾る。これが幸せな人生だと考えている人はいまだに多いはずです。
しかし、その均質的な価値観から解放されれば、地方で暮らしながら楽しく豊かな人生を送れるかもしれないのです。人口減少による人手不足というパラダイムシフトが起こっている今、その選択肢を考えてみる価値は大いにあると思います」
《取材・構成:塚田有香、写真撮影:永井 浩》
《『THE21』2017年3月号より 》
更新:11月22日 00:05