2017年02月23日 公開
2023年04月06日 更新
この例のように、コンプライアンスの名のもとにルールにがんじがらめにされる企業も増えている。最近、コンプライアンス室が強化された企業に勤めるF氏はこう話す。
「とにかくハンコが増えたんです。今までは上司と役員のハンコだけでよかった案件が、コンプライアンス室や監査部、そして経理部のハンコまで必要になった。しかも旧態依然の紙の書類で回すのがルール。決裁にかかる時間は数倍になりましたね」
同時に、社員が自主規制をかけているのか、斬新なアイデアが生まれにくくなってしまっているという。コンプライアンスはもちろん大事だが、まず「規制ありき」の職場では、誰ものびのびと働くことはできない。
一方、会社の過剰な干渉に音を上げる人もいる。最近は「メタボ検診」が企業で行なわれるなど、社員の健康管理も会社の義務という認識が広まっている。だが、「やりすぎ」となると、どうも窮屈になってしまうことは避けられない。
「うちの会社では健康診断で『要注意』とされた社員全員に歩数計が配られ、1日何歩歩いたかを報告しなくてはなりません。しかも、社内のそこかしこに『階段を使ってメタボを撲滅しよう』などというポスターが貼られている。もちろん健康管理が大事なことはわかっているのですが、常に責められているようで、気力も萎えてきます」
そう話すのは広告代理店で働くS氏。入社以来20年で20キロ以上体重が増えたというが、残業の連続でなかなか生活に気を配ることができない。この会社は社長が「健康マニア」で、毎日ジムに通っているという。口癖は「アメリカでは肥満の人は『自己管理ができない』と見なされ、評価されない」。
「先日は机の上に『なぜ一流の男の腹は出ていないのか?』という本が置いてあって、自分への当てつけかと思いましたよ(笑)。もっとも、他にもメタボ気味の社員が多いので、会社が危機感を持っていることは事実だと思いますが」
社員の健康管理は大事だが、やりすぎて社員のモチベーションを下げてしまっては本末転倒だ。また、ユニークなメタボ撲滅ポスターを作成している企業もあるが、場合によっては体型による差別を助長していると捉えられかねない。
更新:11月25日 00:05