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【今週の「気になる本」】『僕は写真の楽しさを全力で伝えたい!』

2017年02月03日 公開
2021年08月31日 更新

青山裕企著/星海社新書

8ページの写真集を作ってみよう

『むすめと! ソラリーマン』『スクールガール・コンプレックス』などの作品集で知られる写真家・青山裕企氏が、自身が写真家になるまでの経緯を綴りつつ、「8°(ぱち)」を作ることを読者に勧める本です。「8°」とは、「ぱちっと撮った写真を、ぱちっとまとめた、8ページの手作り写真集」(P.28)を意味する青山氏の造語。

 ということで今回は、「センスがなくても、技術がなくても、カッコ悪くても、お金がなくても、テーマがなくても、ピントが合わなくても、一眼レフじゃなくても……。/写真は楽しんだもん勝ちです」(P.17)という言葉を心の支えに、私のスマホの中から8点の写真を引っ張り出してみようと思います(本来は、紙にプリントして、レイアウトもしないと「8°」にはならないのですけれども)。

 この【今週の「気になる本」】という連載では、最後の執筆者の署名(イニシャル)の横に写真を1点載せています。私がそこで使っている写真を、私の「8°」の「表紙」に使ってみます。

 

 2015年の年末から翌年の年始にかけて、初めて旅行したロンドンで撮ったキングス・クロス駅です。アーチが美しく、英国各地へと列車が出発するターミナル駅でもあり、「表紙」にちょうどいいのではないでしょうか。『ハリー・ポッター』に当駅の「9と3/4番線」が出てくることは有名。森薫先生がヴィクトリア朝の英国を舞台に描いたマンガ『エマ』を旅行前に読んでいったのですが、その中でも重要なシーンで登場します。いいマンガなので、機会があれば是非。

 

 2枚目もキングス・クロス駅です。1枚目の写真のすぐ隣に、こんな現代的なアーチ状の屋根もありました。写っている店の中に『WASABI』という寿司のフランチャイズ店もあります。ロンドン市の中心部のごくわずかなエリアしか歩かなかったのですが、それだけでも『WASABI』を何店舗も見かけました。地下鉄の駅で寿司を食べている女性も見かけましたし、かなり浸透しているよう。なのですが、試しに買って食べてみると、率直に言って美味しくない。何より米が日本の寿司と違う。欧米人にとって米はサラダに使う野菜みたいな感覚だと聞いたことがありますが、それが納得できるものでした。韓国食材店の奥で「欧州産こしひかり」を見つけたりもしましたが、美味い米のサプライチェーンを誰か英国に作ってくれないものか。

 

 3枚目も屋根。大英博物館のエントランスです。古いデザインと新しいデザインが組み合わさっているのが魅力的に感じました。大英博物館で最も驚いたのは、ほとんどの展示物が撮影可であること。ロゼッタストーンの前などは、写真を撮りたい人でいっぱいでした。ちなみに、日本ギャラリーは三菱商事がスポンサーになっていて、三菱の名前が冠されていました。日本ギャラリー内に中村光先生のマンガ『聖☆おにいさん』が展示されていたのにも驚いた(何かの企画だったのか?)。

 

 大英博物館はとくに古代エジプトや古代オリエントの展示品が素晴らしかったのですが、英国のものについては、この写真のヴィクトリア&アルバート美術館のほうが圧倒的によかったように思います。巨大な建築物などが屋内にいくつも並んで展示されているのも圧巻。

 

 5枚目はBBC制作のドラマ『SHERLOCK』のロケ地。ベネディクト・カンバーバッチ演じるシャーロック・ホームズが暮らしている場所です。キングス・クロス駅に続いて聖地巡礼2カ所目。世界中から観光客が訪れるシャーロック・ホームズ博物館にも、ここから歩いて行きました。

 

 6枚目は、シャーロック・ホームズ博物館の近くにある『The Globe』というパブで食べたフィッシュ&チップス。フィッシュがデカい。私たちが日本から来たと知った店員のお姉さんが「我々は自由だー!」と日本語で叫んだのが印象的でした。さすが英国人はロックですね! ピアスもいっぱいしていました。他の古いレストランでも、髪を緑色に染めた女性が紳士に接客をしていたり。

 

 7枚目は世界的に有名な百貨店『ハロッズ』です。商業施設とは思えない内装です。寿司屋もあったのですが、そこでどんな寿司が供されているのかは確かめず。少し心残りです。

 

 8枚目は「8°」の「裏表紙」に当たります。ロンドン地下鉄のラッセル・スクウェア駅。「裏表紙は『余韻』をポイントに選んでみてください」(P.157)と青山氏は書いているのですが、少しは余韻がある写真ではないか……と。ロンドン地下鉄は日本の地下鉄よりも小さくて、軽快に走っていました。人の大きさは日本よりも大きいと思うのですが。ヒースロー空港まで直通で、旅行者にとってもとても便利でした。

 

 以上、ロンドン旅行をテーマを「8°」みたいなものを作ってみましたが、たくさん撮っているのに、なかなかこれといったものが残っていないものですね。「人物を撮っている人と撮っていない人って、はっきりと分かれるんですよ」(P.61)ということですが、私はまったく人物を撮らない人だということが確認できました。

 

執筆:S.K(「人文・社会」担当)

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