2017年02月20日 公開
2023年09月12日 更新
クラッシャー上司の精神構造は、実は「未熟型うつ」と同じです。未熟型うつの人は、根拠のない万能感を持っており、地道さがなく、内省することもなくて他罰的です。たとえば、「自分は本社にいれば活躍できる人間なのに、工場勤務をさせられている」と不満を持ちながら、地道に頑張って実績を積み、本社への異動を認めてもらおうという考えはなく、失敗は上司のせいにする。そして、「会社に行く気がしない」と休職する。マスコミが「新型うつ」と呼ぶタイプです。
クラッシャー上司も、確かに仕事ができるので根拠がまったくないわけではないにしても、万能感を持っています。だから、部下が成果を上げられないことが許せない。しかも、地道さがないので部下の成長を待てず、イライラして、他罰的なので部下を問い詰めてしまうのです。
クラッシャー上司と未熟型うつとの違いは、「仕事ができるか、できないか」だけだと言っていいでしょう。
クラッシャー上司は仕事ができるので、会社がクラッシャー上司に依存しやすいというのも、問題が根深くなる理由の1つです。周囲からパワハラの訴えが多少あっても、業績に悪影響が出るのではないかと懸念して、ポジションから外すのを会社が躊躇するのです。
しかし、クラッシャー上司が若手を潰しているような職場からは、イノベーションは生まれません。会社の競争力を高めるうえでも、クラッシャー上司は解決すべき問題なのです。
また、人間はストレスが過剰になるとパフォーマンスが下がります。社員のパフォーマンスを最大化するためには、社員にかかるストレスを適切にコントロールしなければならない。そのためにも、クラッシャー上司の存在は大問題です。
では、クラッシャー上司にはどう対処すればいいのか?
まずは、クラッシャー上司がなぜ暴れているのかを理解することです。そして、「器の小さい人間だから焦ってるんだな、気の毒に」と、少し「上から目線」で見てしまいましょう。
そのうえで、クラッシャー上司の言うことを上手に流すこと。さらに、周囲の人たちと被害者体験や感情をシェアして、被害者は自分だけではないことを知り、一緒になって応急的対策マニュアルを作るといいでしょう。
《『THE21』2017年3月号より》
更新:11月25日 00:05