2017年01月31日 公開
クリエイティブ・ディレクターやコピーライターとして、これまでさまざま企業のブランディングや新商品の開発、広告戦略、広告制作などに携わってきた小西利行氏。その卓越したアイデアは、いつも手書きのメモから生まれている。発想力や課題解決力が飛躍的に高まる小西流メモ術の秘密を紹介しよう。
会議やミーティングの内容をひたすら書き写す板書型メモ。さまざまな企業のブランディングや広告制作で数多くの会議に参加してきた小西氏は、「そんなメモには意味がありません。後で資料や議事録をもらえば済む話です」と切り捨てる。
それよりも、ミーティング中は、自分が「なぜ?」「面白い!」と感じた発言だけをメモしたほうがよいと語る。「なぜ?」を掘り下げていくことで、クライアントの課題や解決策が明確になってくるからだ。
「たとえば『春物服の売上げを20%アップさせる』という課題を持つ企業のミーティングに臨んだとします。このとき『なぜ、春物の服を積極的に売るの?』と疑問を抱いたら、その疑問をメモし、参加者に尋ねてみます。すると、『春は衣料品の動きがいいから』『春はファッション誌の売上げがいいらしい』などといった答えが返ってきます。
その中から、『面白い!』と感じたものだけをメモし、『でもなぜ春はファッション誌が売れるの?』と新たな質問を重ねていくのです。こうして『なぜ?』を繰り返すうちに、『春物が売れる理由』や『誰が買っているのか』が明確になってくるので、『もっと売れるためにはどうすればいいか』といったアイデアが生まれます」
小西氏はミーティングの際、参加者でメモを囲みながら話し合うという。発想が刺激され、会話が活性化されるからだ。
「 春物服の売上げを20%アップさせる」会議メモ
取材中、編集部からの「小西さんはいつもどんなふうにメモをしているんですか」という質問に対して、「たとえばですね」と言いながら書いてくれたのが、このメモ。参加者の発言の中から「なるほど! 」と思ったものをメモしていくが、その中でもさらに深掘りする必要があるものには「◎」のマークをつける。逆に実現性や重要度が低いものには「△」や「×」をつける。また、女性向けの春物服について議論しているときに、「でも最近は男物のほうが売れ行きがすごいですよ」といった、興味深い新情報が出てきたときには、イラストや吹き出しなどを使ってわかりやすく追加しておく。議論のプロセスやポイントが、一目瞭然でわかるメモになっている。
更新:11月26日 00:05