2016年12月21日 公開
2024年12月16日 更新
A社:販売する人間も知識が少ないので、商品の開発サイドや企画サイドの説明を鵜呑みにしている可能性もあり、お客様に商品の仕組みとリスクが伝わっていないと思います。
FP:そうですね。「よくわからないけれど、いつも来てくれる証券会社の○○さんが言うなら買ってあげよう」とか、「銀行の支店長さんが自宅まで来てくれたから投資してみよう」みたいな話はものすごくたくさんあります。
A社:人で売る感じですね。
FP:はい、「商品ではなく人を売れ」といったところですが、そもそもの商品が良くなければ売れないし、売れてもクレームにつながります。
A社:証券会社や銀行のノルマ主義も、売りやすさばかりを重視する傾向を生み出していると感じます。
FP:うちのお客様には銀行員の方もいますけど、彼らは総じて金融商品に詳しくないですね。何の専門家なのだろうと感じます。勉強しない投資家も悪いのでどっちもどっちですが、もう少し販売側には知識レベルの向上をお願いしたいところです。
A社:道のりは長そうですね。
FP:ところで、A社はヘッジファンドを取り扱っていますが、具体的にはどんな商品でしょう?
A社:弊社は個別の株式の仲介は行っておりません。また、投資信託の取り扱いもありません。海外のヘッジファンドを金融庁の販売認可を得て、「私募」という形式で勧誘販売しています。
FP:私募というと、一般投資家まで含めた「公募」と違い、限られた範囲の投資家への募集を行なうものですよね。49人までしか投資できないという仕組みだったと思うのですが。
A社:それとは少し異なり、直近6か月の間に49人までの勧誘が可能になっています。直近6カ月の間に49人勧誘してしまうと、一時的に勧誘枠がなくなる、というルールです。
例えば1月から6月末までに49人に勧誘すると、いったん販売できる枠がなくなります。ただ、1月5日に勧誘した人は、7月5日になると直近6か月の枠から外れますので、ここで一人分、勧誘の枠が空きます。なので、販売を一時停止することはあっても終了することはありません。
FP:投資信託でいうところの「オープン型」ですね、私はてっきり、募集期間が限定されている「クローズ型」なのかと思っていました。
A社:もちろんクローズ型にもできますが、今のところオープン型を主力に扱っています。
FP:御社のファンドの強みは何ですか。
A社:過去の実績です。あるファンドは、直近12ヵ月のトータルリターンが常にプラスになっています。
FP:それはすごいですね。公募型にすればものすごい資金が集まりそうです。
A社:公募型にすると販売するための手続きに莫大なコストがかかります。せっかくパフォーマンスのいいファンドなのに、諸経費の重みで利益が少なくなってしまうのです。
FP:私募だと商品名が公にできないから、販売が大変そうですね。
A社:その通りです。ですから、FPの方々からのお客様の紹介に期待している面はあります。
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更新:01月03日 00:05