2016年09月20日 公開
2023年05月16日 更新
先行きの見えない日本経済。将来のことを考えたとき、月々の賃料収入が得られ、資産価値もある不動産投資は、老後資金対策としてサラリーマンにお勧めの投資だ。さらに、不動産という値崩れしにくい資産を多く持てば、サラリーマンとしての収入をはるかに超え、「セミリタイア」することも可能。不動産投資は、そんなさまざまな可能性を持っている。そこで、まずは前編として、ベストセラー『不動産投資1年目の教科書』の著者である玉川陽介氏に「失敗しない不動産投資の心得」をうかがった。
株式や投信、FXなど数々の投資手法がある中で、なぜ不動産投資はお勧めなのだろうか。
■お勧めの理由①
今後、資産インフレにより土地の資産価値が上がる!?
「土地ありき」の投資である不動産投資は、他の投資と違い、価値がゼロにはならない資産性の高い投資です。また、現在の金融政策はデフレからの脱却を目指しており、今後、日本経済はインフレが進むと予測されます。このタイミングでの不動産投資は賢い選択。物価や給料、土地の値段などが上昇していくにつれ、相対的にお金(預貯金)の価値が下がり、不動産の資産価値が上昇していく「資産インフレ」が予想されるからです。インフレ進行下では預貯金を多く持つほうがリスクとなります。
■お勧めの理由②
賃料利回りが低下しても、利益は変わらずに出る
不動産投資の最大の魅力は、他人から借りたお金で資産を築けること。しかもマイナス金利政策により空前の低金利です。一般的に、賃料利回りと借入れ金利の差が利益となりますが、物件価格が上昇し、収入である賃料利回りが低下しても、経費である借入れ金利が下がっているので、利益となる収入と経費の「差」は縮まっていません。また、早めに始めれば定年近くでの残債は十分に減っているはず。さらに、価格下落の著しい物件でない限り、売却すれば現金が入り、老後の備えにもなります。
不動産投資にはある程度の元手が必要なイメージがあるが、実際にはどれくらい必要で、どう調達すればいいのだろう。
■価格が下がるまで待つべき?
多少高いくらいでもOK。物件の持つ資産価値を考えて
現在、東京の不動産価格は緩く上昇中。しかし、5年後、10年後に物件価格が多少下がるのを期待して待つよりも、今から投資を始めて収益を上げ始めれば、たとえ将来、価格が下落したとしても、そのぶん以上の収益が累積される可能性があります。おおむね、10年経てば残債は3割ほど減っているはずですが、10年後に物件価格は3割安まで下落することはないでしょう。今、多少高く買っても計算が合うのはそのためです。また、不動産投資は中途売却での利益も得られます。さしあたりのキャッシュフロー(賃料収入からローンや税金・諸経費を引いた額)に大きなプラスがなくても、その物件の持つ資産価値を考えることが重要です。
■資金はいくら必要?
少なくとも300万円の余剰資金は確保しておくように
頭金に購入時の諸経費を加えたものを「自己資金」と言います。近年はフルローンで購入もできますが、物件価格の1割程度を自己資金として用意しておくことが望ましいでしょう。なお、不動産投資の諸経費で最も多くかかるのは税金。物件購入時の不動産所得税や登録免許税をはじめ、物件保有中には固定資産税などがかかります。購入時の諸経費の合計は売買価格の6~7%、保有期間中にかかる日常経費は、賃料収入の20~25%となるのが一般的です。また、保有中は突発的な大規模修繕なども発生する可能性があるため、少なくとも300万円くらいは余剰金を確保しておくことが大切です。
■ローンを組む条件は?
1 棟物件は年収800万円、区分所有は年収500万円くらいが理想
不動産投資を始める前にまず考えるべきことは、「自分がいくらローンを借りられるか」という融資条件。金融機関からの借入れ可能額は年収によって異なり、年収の6~20倍が目安です(年齢や家族構成、保有物件の残債、返済比率などで変わる)。アパートなど1棟物件の購入を考えている場合、600万円、望むべくは800万円以上の年収がないとローンを組むことは難しいでしょう。一方、区分所有(マンションの1室)の場合、年収500万円くらいから可能。金融機関によって融資条件や金利は変わってきますが、本格的に物件を見る前に、まずは自分の属性から、だいたいの借入れ可能額を把握しておくといいでしょう。
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更新:11月21日 00:05